内容説明
『言葉と物』、『差異と反復』、『グラマトロジーについて』。いまや古典となったフランス現代思想の名著をめぐって展開するこの「三つの物語」は、日本でニュー・アカデミズムが台頭する直前、1978年に衝撃とともに刊行された。フーコー、ドゥルーズ、デリダという哲学者が登場するものの、本書は哲学の概説書でも研究書でもない。それは思考の物語であり、「批評の実践」であり、「作品」を読むことの物語である。瑞々しく、極限までそぎ落とされた文体で、いまだ「読むことのレッスン」を体現し続ける批評家の、比類なき名著。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yohei Kobashi
1
著者がフーコー・ドゥルーズ・デリダの著作を一作ずつ取り上げて語る本。とてつもない名著であり、短く要約できる内容ではないのでコメント欄も使い長々書く。ポストモダンを代表する3名の哲学者を取り上げている千葉雅也の現代思想入門と重なり、千葉雅也を介して本著を解釈することは不可能ではない。しかし、その読書体験は全く異なる。一番の違いは切実さの有無である。著者はポストモダンの姿勢が抗い難く知の否定に繋がることを切実に受け止め、それと向き合うための何かを三作から読み解こうとする。本著を読むことはその追体験である。2024/02/23
鏡裕之
1
いかにも80年代的な、ニューアカデミズム・ファッション。 浅田彰の『構造と力』を読んだ時にSFみたいだなあと思ったけど、本書も物語的衣装・意匠をまとってるね。2022/11/23