内容説明
各紙誌で絶賛! 村上作品の原風景がここにある
村上春樹が自らのルーツを綴ったノンフィクション。中国で戦争を経験した父親の記憶を引き継いだ作家が父子の歴史と向き合う。
父の記憶、父の体験、そこから受け継いでいくもの。村上文学のルーツ。
ある夏の午後、僕は父と一緒に自転車に乗り、猫を海岸に棄てに行った。家の玄関で先回りした猫に迎えられたときは、二人で呆然とした……。
寺の次男に生まれた父は文学を愛し、家には本が溢れていた。
中国で戦争体験がある父は、毎朝小さな菩薩に向かってお経を唱えていた。
子供のころ、一緒に映画を観に行ったり、甲子園に阪神タイガースの試合を見に行ったりした。
いつからか、父との関係はすっかり疎遠になってしまった――。
村上春樹が、語られることのなかった父の経験を引き継ぎ、たどり、
自らのルーツを初めて綴った、話題の書。
イラストレーションは、台湾出身で『緑の歌―収集群風―』が話題の高妍(ガオ イェン)氏。
※この電子書籍は2020年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ちくわ
122
【♪】村上春樹…存命の日本人作家の中では1、2を争う著名な作家だが、自分は高校の時に格好付けて買った(≠読んだ)ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック以外、彼の作品は一切読んだ事が無い。今回奇縁で読む事になったが…小説ではなく親父伝なのね! 読了後、つくづく人間なんて空っぽなんだな!と…その空っぽの器の中に、様々な原体験を注がれて人間が形成されるんだなぁ…と感じた。今度、親類や友人と語り合う時には、出来るだけ彼らの心に深く刻まれている原体験を聴くようにしよう。それが彼らを知る一番の術になりそうな気が…。2026/03/23
貴
80
亡くなった父を語る。村上春樹さんに、言い知れぬ寂しさを感じました、けして悪い意味ではありません。家族を語ることのなかった彼が、書くべき時期が来たのだと、きっと今書くべきと深い考えから書かれたのだと思います。彼の作品を読むことにより、改めて自分の家族とは何か、幼い自分は何だったか深く考えました。2024/04/09
優希
71
父親の視点から自らのルーツを探るという着眼点が面白かったです。2022/12/25
chantal(シャンタール)
64
急に思い立ち、英語学習の一環として、以前感銘を受けた村上さんがエルサレム文学賞を受賞した時のスピーチの英文を探して読んだ。そう言えば、文庫化されたこの本、積んだは良いが読んでなかったなあと思い、再読。従軍経験のあるお父さんの事を、どうしても書き残しておきたかったんだろうなあ。こんな時代だからこそ。今、戦争体験者がほんとに加速度的にいなくなってきて、戦争を軽く考えてる人があまりにも多くない?と不安に思う事が多々ある。少しでも多くの人に、村上さんの思いが届くと良いのだけれど。2025/07/10
ばう
57
★★★ 人生の節目節目でもし違う選択をしていたら。父母は出会わなかっただろうし私はこの世に存在しなかった。もし私があの時違う道を選んでいたら今の生活はなかった。そう考えると人の一生は奇跡の産物なのかななどと思った一冊。作者が子供の頃、父と棄てに行った猫が何故か先回りして家に帰ってきた二人を迎えたというエピソードから始まる父親の人生を描いた作品。春樹さんはこんな話も書くのか、と驚きました。挿絵はこれまた私の好きな高妍(ガオイェン)さんだったのも嬉しかった♡2026/05/19
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