内容説明
各紙誌で絶賛! 村上作品の原風景がここにある
村上春樹が自らのルーツを綴ったノンフィクション。中国で戦争を経験した父親の記憶を引き継いだ作家が父子の歴史と向き合う。
父の記憶、父の体験、そこから受け継いでいくもの。村上文学のルーツ。
ある夏の午後、僕は父と一緒に自転車に乗り、猫を海岸に棄てに行った。家の玄関で先回りした猫に迎えられたときは、二人で呆然とした……。
寺の次男に生まれた父は文学を愛し、家には本が溢れていた。
中国で戦争体験がある父は、毎朝小さな菩薩に向かってお経を唱えていた。
子供のころ、一緒に映画を観に行ったり、甲子園に阪神タイガースの試合を見に行ったりした。
いつからか、父との関係はすっかり疎遠になってしまった――。
村上春樹が、語られることのなかった父の経験を引き継ぎ、たどり、
自らのルーツを初めて綴った、話題の書。
イラストレーションは、台湾出身で『緑の歌―収集群風―』が話題の高妍(ガオ イェン)氏。
※この電子書籍は2020年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
貴
75
亡くなった父を語る。村上春樹さんに、言い知れぬ寂しさを感じました、けして悪い意味ではありません。家族を語ることのなかった彼が、書くべき時期が来たのだと、きっと今書くべきと深い考えから書かれたのだと思います。彼の作品を読むことにより、改めて自分の家族とは何か、幼い自分は何だったか深く考えました。2024/04/09
優希
68
父親の視点から自らのルーツを探るという着眼点が面白かったです。2022/12/25
chantal(シャンタール)
60
急に思い立ち、英語学習の一環として、以前感銘を受けた村上さんがエルサレム文学賞を受賞した時のスピーチの英文を探して読んだ。そう言えば、文庫化されたこの本、積んだは良いが読んでなかったなあと思い、再読。従軍経験のあるお父さんの事を、どうしても書き残しておきたかったんだろうなあ。こんな時代だからこそ。今、戦争体験者がほんとに加速度的にいなくなってきて、戦争を軽く考えてる人があまりにも多くない?と不安に思う事が多々ある。少しでも多くの人に、村上さんの思いが届くと良いのだけれど。2025/07/10
さぜん
50
村上春樹が父を語るが、そこには戦争が大きく関わっている。第16師団に所属していた父は毎日仏壇に向かいお経を唱える(寺の息子だった)。詳細は語らず、質問もできなかった。死後、父についての経歴を辿り知りえた事実のみが記され、村上春樹が出来上がる源流を垣間見ることができる。自分に受け継がれているものが何なのか、自分が今ここにいる意味を読みながら同時に考える。自分のルーツを知ることはもはや不可能だが、「ファミリーヒストリー」を見るたびに誰か調査してくれないかなと思う。2022/12/23
再び読書
48
私小説と言える作品。今までの作品と共通しているのは、一貫して静かなトーンの彼の文章。祖父を僧侶に持つ彼のルーツがわかろ、また彼の父とのわだかまりが語られていて、少し苦しくなる。それを猫が繋いでいくように感じる。昔のせいか、名前がユニークだった。彼の作家としての生き方としていつか通らないといけない道筋の一本と感じる。作品としては内容として仕方ないとは言え微妙な印象。2022/12/12




