秘密にしていたこと

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秘密にしていたこと

  • 著者名:セレステ・イング/田栗美奈子
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • アストラハウス(2022/10発売)
  • 盛夏を彩る!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~7/28)
  • ポイント 540pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784908184376

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内容説明

時代を超えて読みたい家族の物語

少女の死をきっかけに家族がそれぞれ抱えていた秘密が語られ、一家の深い闇が暴かれる。
死の真相を追うというミステリーの枠組みこそあれ、そこで語られているのは差別によって
心を蝕まれた家族の崩壊と再生の物語である。

舞台は1977年、オハイオ州の架空の田舎町。16歳の少女が行方不明になり、数日後に湖で遺体で発見される。 物語はリー一家を中心に進んでいく。父親ジェームズ・リーは中国系アメリカ人の大学教授。ハーバード大学を 卒業したものの、教職に就いてからも周囲になじめずにいる。そんなコンプレックスから、ジェームズはリディアに「友達と同じように」「周囲にとけこむように」という夢を託し、プレッシャーをかけ続ける。

妻のマリリンは南部出身のブロンドヘアーの白人。医師を志していたが、ジェームズと出会って恋に落ち、 妊娠・結婚。夢をあきらめることになる。マリリンもまた、あきらめきれなかった夢を、自分と同じ青い目を もつリディアに託し、知らず知らずのうちにリディアを追い詰めていた。

長女のリディアは母親によく似た容姿で両親に溺愛される。青い目であっても、黒髪であること、父親が アジア系であることから、周囲にはなじめずにいる。

一方、長男のネイスと次女のハンナは父親ゆずりのアジア人顔だ。ネイスは、父から疎まれ、母から 無視をされ、鬱屈した生活を送っていた。ただ大学入学を機に、ついに家を出ることが決まっていた。しかし、 このことで、お互いを支えとしていたネイスとリディアの関係が変化し、リディアに決定的な暗い影を落とす。

妹のハンナは、家族から相手にされず、常に部屋の隅、机の下に隠れている。だが、誰よりも客観的に家族を 観察し、事件の真相に迫っているキーパーソンでもある。

本書では、章ごとに1950年代の両親のなれそめ、1970年代の現代を行き来し、家族が徐々に崩壊していく 様子が語られる。その語り手も、リー一家が章によって入れ替わり、それぞれの秘密を静かに暴露していく。 終盤ではリディアの語りによって、死の真相が明らかになる。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キムチ27

59
読み始め【生き辛さ、自分が歩きたい路の模索、異民族間結婚の難点、女にとっての結婚・家庭とは】に焦点が絞られて行く展開がひりつき、共感は少ないまま わが身に擦過傷が増え痛みに呻吟して行った。原題「わたしがあなたに語らなかったことのすべて」じゃ 語ったからどうなった?口を離れたナイフが相手の心に刺さり そこから化膿して行った案件は数知れぬ。人は其々、最後は一人。自分がこうだからと言え、相手は受けとめうる立場が常にセッティングされているとは限らない。昨今、巷間 よく言われる「重い母」~子供等への言葉と態度の虐待2022/12/24

ヘラジカ

57
あらすじすら読まず事前情報なしの状態で臨んだが、極めてシンプルな冒頭のアクシデントにここまで重厚感ある社会問題、人間模様が積み重なっていくとは思いもしなかった。この「秘密」は重過ぎる。今見ると書籍の内容紹介はかなり踏み込んでいるので読まなくて正解。真相が明らかになりつつある中盤から、読むごとに苦しくなっていくのに読まずにはいられなかった。成程、これはすごい家族小説だ。ラストは圧巻ですらある。読んでいて息が詰まりそうになるのに、最後にはもう一度最初から読みたくなっていた。傑作。2022/10/18

星落秋風五丈原

36
妹のハンナは家族から相手にされず、常に部屋の隅や机の下に隠れている。実は彼女を妊娠した事が夢を諦める原因になっているためマリリンにとっては複雑な存在なのだが、これもハンナには自分が疎まれる理由がわからない。長男と次女は理由がわからないままに疎まれ一方長女は理由がわからないままに両者から過大な期待を寄せられる。長女は母親の家出を自分の行動と結びつけ「自分がいい子にしていれば母親は出ていかない」と思い込んでしまう。いわゆる自縄自縛である。両親が一度も真正面から見たことがなく子供たちもそれぞれの秘密を話さない。2022/11/13

愛玉子

35
ミステリのような冒頭から引き込まれる。薄々気づいていた、全く知らなかった、知っていたけど見ないふりをしていた、密やかに胸に秘められていた、たくさんの秘密。それぞれの視点から語られる過去が、壊れゆく家族の姿を少しずつ明らかにしていく。自らが受けた傷を癒せなかった子どもが、やがて自分の子に傷を負わせることになる、それと知らずに、気づくことすら出来ずに。読むのが苦しく、この先どうなるかもわかっているのに先を読まずにはいられない。取り返しのつかないことと、その先にあるもの。苦しいけど読んで良かった、と思える作品。2023/10/15

キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん

26
あまりにクズ親すぎて読んでいて辛かった。このような親は多くて、自分もその要素あるかもしれないと胸が苦しくなった。潰されていく子どもたちが寄るべなくかわいそうだった。それでも離れられないのが子どもにとっての親。親も少しずつ学んでいって、子どもにとって良い親になるのは一生の課題なのだなあ、と思う。いつからでも始めなくてはならないし、諦めていけないのだなあ、と思った。2023/07/25

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