扶桑社BOOKS新書<br> ロシアの思考回路 その精神史から見つめたウクライナ侵攻の深層

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扶桑社BOOKS新書
ロシアの思考回路 その精神史から見つめたウクライナ侵攻の深層

  • 著者名:三浦清美
  • 価格 ¥1,056(本体¥960)
  • 扶桑社(2022/10発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784594093198

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内容説明

プーチンはなぜ「神の代理人」のように振る舞えるのか?
「力」か「自由」か――歴史の変革時に常に「力」を選び続けてきた
ロシアの思考回路をロシア正教会の歴史からひも解く!

これまで日本には、ロシア正教会の教えに裏打ちされた
ロシア人のものの考え方を知るための本がありませんでした。
本書は、日本で初めてのロシア人の思考回路を解明した本です。

この本の目的は、不可解に思えるロシアの行動の中にある必然性やロジックを認識し、
ウクライナ侵攻の深層を浮かび上がらせることです。

少し前の話になりますが、ウクライナ侵攻後、
ロシア正教会のキリル大司教はプーチンに祝福を与えました。
10月3日のプーチン大統領70歳の誕生日にも祝福を与え、
「プーチン氏はロシアを統治するよう神によって定められている」と主張しました。

キリル大司教の言動は日本人には不可解ですが、
ロシアとロシア正教会の歴史を知るとキリル大司教の行動原理がわかるようになります。

ロシア正教会によって培われてきた強力な統治者を渇望する気持ち、
モスクワこそがキリスト教の中心地とする考え方、政治と宗教の強い結びつきなど、
ロシア人の宗教観、統治者観を知れば、
プーチンが神の代理人のように振る舞える背景や、
ロシア人が西洋に向ける複雑な視線を理解できるようになります。

著者は30年以上にわたって中世ロシアを研究し、
ロシア人の精神史に詳しい三浦清美・早稲田大学教授。
本書は、「この不幸な戦争に一刻も早く終止符を打つための一助となりうるものを」との
思いで書かれた、ロシアを深く理解するための必読書なのです。

はじめに ロシア人インテリゲンツィアの声
第1章 「ルーシの世界」のはじまり
第2章 キエフ・ルーシの改宗
第3章 統治者は「地上における神の代理人」たりえるか
第4章 「ロシア」の誕生
第5章 ウクライナの誕生
第6章 宗教的原理主義の行方
おわりに
ロシア、ウクライナ 略年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

塩崎ツトム

20
なぜロシアは皇帝が神権より上位につくのかというのを、政治制度とは別に、キリスト教の受容と、そしてナショナル・アイデンティティの形成の過程を建国の歴史と絡めわかりやすく説明。なるほどこういう思考かと理解できるが、ウクライナと如何にしてアイデンティティが分かれたかについても解説しているので、やはりロシアとウクライナは別の国であり、そもそも10世紀くらいに形成されたお題目で他国を蹂躙されちゃ困るのである。2025/01/13

田中峰和

6
なぜ世界中の反対を無視してウクライナ侵攻を続けるのか。ユダヤ教とカトリック、正教、イスラム教など当時の宗教と国家に遡って、解説される内容は教科書の何倍も詳しく興味深い内容だった。ロシア人の思考回路を知るにはうってつけの良書だ。ロシア正教会のキリル大司教は「プーチンがロシアを統治するよう神によって定められている」と主張する。民族的に遅くキリスト教に改宗した劣等感は西欧NATOへの対抗意識となり、ウクライナが加盟することを許容できない。そして国民の統治者観は、絶対的な力をもつ神の代理人に委ねる意識が根深い。2023/01/16

shimashimaon

6
キリスト教関係の読書が役に立ちました。新約聖書にある「ぶどう園の労働者」の例えの如く、遅れて改宗したロシアが先頭に立つべく、テオーシスを体現するアウトクラトール(神の代理人)であるツァーリを希求する。ローマ教会と異なり東方正教では民族固有の言語による布教が行われ、世俗権力に果敢に対抗する宗教者も出現した。キュリロス・メトディオス兄弟、トゥーロフのキリルetc.。信仰は凄い。モンゴル侵寇という歴史に根ざすリアルな終末論とテオーシスに基づく自力本願的要素の濃さが、「回路」の特徴でありそうなことを垣間見ました。2022/11/15

takao

3
ふむ2024/06/13

バルジ

3
「ルーシ」の歴史的淵源を同時代の文学作品から辿る他に類書のない新書。聞き慣れない固有名詞の嵐で中々読むのに骨が折れるが、現代ロシアの「古層」を窺い知るのに最適な一冊であろう。ロシア史に疎い評者はリューリク招請の理由が自らを統治してもらうために「招いた」点に驚く。その後のキリスト教受容の姿はむしろ「中心」への飽くなき渇望がありながら、「中心」たり得ない辺境国家の激しいアイデンティティのせめぎあいに見える。テメーシス概念やアウトクラトールはプーチニズム理解の一助にもなる。2023/02/11

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