内容説明
2022年2月1日に死去した石原慎太郎氏。その最後の文学的結晶――
限りなくピュアな初恋の記憶を描いた「遠い夢」、死後公開された「死への道程」など、単行本未収録のまま残された作品を収録。
「太陽の季節」から67年、まさに「白鳥の歌」と呼べる一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
読書は人生を明るく照らす灯り
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📕読んだ理由📕石原慎太郎さんの最後の作品を読みたかったから📘読んだ感想📘石原慎太郎らしくない、柔らかな物腰の文章に戸惑いを感じたが、人は常に変化する。霊を信じてなくても、ある日信じる様になる事も。物書は、興味あることを物語にして伝える事が出来るので、改めて崇高な職業だと思う。📗読んだ後の行動📗石原慎太郎さんの作品をたくさん読む 2023/01/27
misalyn
11
私にとって石原慎太郎氏は、歯に衣着せぬ発言と発想力・行動力が印象に残る都知事。ご自身の病状が進む中書かれた作品“絶筆”と聞いて手に取りましたが、初っ端から死をテーマにしつつも純愛もので嬉しい誤算でした。彼が生きてきた時代の色が濃く、理解し難いところもあったけど、、、チャンスがあったら他の本も読んでみようかなと思える作品でした。2024/06/21
りょうけん
10
<果> 本書は幾つかの異なる小説雑誌に ごく最近掲載された短編作品を集めて 石原最後の上梓本としたものと思しい。私小説の様な作品もあれば明らかにそうでないモノもある。 が、石原自身の体験に基づいて書かれた内容であるのは間違いなかろう。そして全部「女」の話だ。まあそれは仕方ないだろう。 先に読んだ石原の本『「私」という男の生涯』によって 石原には更に追加的隠し子がいる事が詳らかになったほどの”女好き”なのだから。いや悪いとは云っていない、なんなら羨ましいと云っているのだ。あ、身の程をわきまえづに,すまぬ。2022/12/02
yokey
7
現代の話に昔を感じる文章が読んでいてあら?ってなった。最後の石原家四男の解説が面白かった。この人が一番お父さんの血濃く継いでいるのでは?なんて思った。どんな絵描く人なんだろう。2023/03/21
田中峰和
7
石原は晩年、ずっと死を見つめてきた。「太陽の季節」という、当時としてはとんでもない本で芥川賞を受賞、その後は政治家に転身したが、引退後は執筆活動を積極化した。三島より一世代若く、中学生で終戦を迎える。三島のように虚弱で徴兵されなかったのではなく、マッチョな石原は年齢のせいで参戦できなかった。彼が晩年も、特攻隊の青年を描くのは、彼の世代の屈折だろうか。余りにも多くの青年たちの死、生きるべき命が無駄に消耗されたのに、彼は80代まで生きながらえた。死後は何も残らないと断じる石原だが、それは恐怖の裏返しなのか。2023/03/04