内容説明
19世紀から20世紀前半、欧米諸国の衣服や装飾品のデザインや素材には、科学技術の進歩によって革新的なものが生まれ、流行してきた。いつの時代も、その当時の最新技術によるファッションは、悲惨な出来事を引き起こした。本書は、それらを取り上げて、歴史的・社会的背景や、科学的側面とともに示す。それらの出来事に巻き込まれざるを得なかった人々の悲劇的エピソードは、それぞれが胸に迫る。そして、同様の問題は現在も存在することが、具体的な事例とともに指摘される。美しい色や贅沢な装飾の服、帽子、装飾品などの写真と、それらにまつわる悲劇との対比が、たいへん印象的である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
72
産業革命以後、技術革新によるファッションの大衆化の功罪を見てゆく本。化学合成による安価で鮮やかな緑やモーブの布が生産者に引き起こした重篤なヒ素やアニリンの中毒や、象牙や鼈甲の代替として海亀や象を乱獲から救ったセルロイドがその可燃性ゆえにもたらした火災の悲劇等が語られます。作者は最終章で、このファッションが惹起する問題が続いていることを、ダメージデニムを作る作業者の珪肺症や現在も使われる有毒な緑の染料の事例などから示していて、「跡戻りする」ことは難しいとしても、この問題にもっと意識的でありたいと思いました。2022/05/09
こばまり
62
おしゃれはやせ我慢などというが死んでしまったら元も子もない。シルクハットからダメージジーンズまで、服飾が作る人と着る人にもたらした創傷、障害、死についてとことん調べてある。嗚呼それでもヒ素グリーンのドレスは二百年の時を経ても魅力的に映るのだ。ファッションは病だ。2021/03/11
たまきら
46
先日読んだ本でアリスの登場人物マッド・ハッタ―の描写が、当時帽子職人は水銀中毒になりやすかったからだったとしりびっくり。この本もその驚きから借りてきました。ファッションが危険になりえる、というのは今も変わりません。料理中の事故、アレルギー。逆に完全に安全なものが難しいのかもなあ…。それでもやっぱり、斬新なものに惹かれちゃったりしますしね。大変勉強になりました。2023/02/01
G-dark
26
人体に害をもたらした世界中のファッションの歴史をまとめた本。本来なら体を美しく飾るだけでなく保護する衣服や化粧によって、怪我をしたり亡くなった事例が幾つも載っています。「けれども問題はおおむね持ち越されており、さらにまったく新しい問題も生じているのが実情だ」と著者が指摘している通り、死を招くファッションは決して過去のものではありません。現在流行しているファッションだって、危険な要素を孕んでいます。「お洒落は我慢」なんて言葉がありますが、この本を読んでいると健康と安全の方が見た目より大事だと気付かされます。2020/12/24
くさてる
21
19世紀から20世紀前半のファッション(服装)と健康についての歴史と解説。カラー図版も多く、分かりやすい。細菌や寄生虫が入り込んだ古着、ヒ素で染められたドレス、機械に巻き込まれやすいファッション、燃えやすい布地……。具体例が多く説得力がある。そんな危険な服装を身に着けたのは単純に流行に乗せられてだけではないこと、当時の人々の生活や人権意識とも深くかかわった問題であることが分かった。そして、それでもヒ素で染められたエメラルドグリーンのドレスは美しい。面白かったです。2020/03/28
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