内容説明
不思議なテレポート・マシーンとの出会いをきっかけに、哲学の基本的な問題をめぐって丁寧に議論を繰り広げる。論理的思考の展開方法も学べるやさしい哲学対話。
目次
第1章 おじさんがフリマで奇妙なものをみつけた話/おじさんとぼく/おじさんがフリマで奇妙なものを手に入れたいきさつ/テレポート?/瞬間移動なんて本気で考えられるか?/そっくりだからと言って、同じだとは言えない/同じか同じでないかはそれほど大事だろうか?/でも、やはり、仕組みがどうなっているのか気になる/第2章 もう一台の「受信機」が手に入った話/おじさんからメールが届く/フリマの主催者からおじさんが聞いたことと、その後でおじさんが見つけたもの/移動装置というよりは複製装置だった!/オリジナルとコピー/油絵とマンガ/すべてがコンテンツになる/アキさん/第3章 ひともまたデータになってしまうという話/ひとを複製するなんて何で思いついたのかと、おじさんが責められる/生きているものと生きていないもの/ペットを複製してもよいか?/ひとを複製するのは?/複製でも生き延びたことになるのか?/アリを複製しようとしてどうなったかという話/第4章 自分たちはシミュレーションかもしれないという話/心をシミュレーションする/人類のあとに来るもの/ポスト人類はご先祖さまをシミュレーションするか?/自分たちがシミュレートされた存在であることはほぼ確実だという話/アキさんの推理/ぼくの推理/◆次に読んでほしい本/◆さくいん
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
buuupuuu
17
瞬間移動と複製は区別がつかないという話から始まって、ものを完全に複製できる技術があったらどうなるかということについてあれこれ考える。すべてがコンテンツになって、ものをダウンロードするようになるのではないか。生き物とそれ以外で複製してよいかどうかに違いはあるか?人が複製できたら「あの二人は昔は同じ人だった」みたいな言い方をするようになるかもしれない。意識を複製する技術が発展しうるならば、我々はオリジナルであるよりもシミュレーションである確率の方が圧倒的に高いだろう。等々。哲学には様々に想像できる力が必要だ。2022/11/23
たっきー
11
漢字に読み仮名がふってあり、子どもが読むことを想定しているのだろうと思われる哲学入門。とはいえ、なぜ人や動物などを複製してはいけないのか?という、なかなか難しい問い。大人の私もすぐに答えは出せない。2022/10/22
joyjoy
9
不思議なテレポート・マシーン(実は複製マシーン)をとおして、ぼくとおじさん、アキさんが議論したように、この本をとおして、自分も誰かと語りあってみたくなる。もし自分の目の前にこのマシーンがあったら?何に使う?何には使いたくない?オリジナルとは?コピーとは?コピーにもそこに何かキズ(何かの痕跡?)がつくと、あるいは何か物語がのっかると、唯一無二のものになる?いや、何もなくても何もかもが唯一無二とも言える?うーん、コピーでOKなもの、ダメなもの?自分は何を大事にするのか?いくらでも次のQが出てくるQブックス。2022/12/29
ニッポニテスは中州へ泳ぐ
7
☆=4/5 本書で扱われている哲学的議論の主題そのものからはやや逸れた感想になるが、以下に記す。 物質まるごとの複製が可能になった場合農業が「食生活の基盤」という役割から切り離された営みになりうる、という話はどこか村田『消滅世界』における性行為と出産の切り離しに似ていると思った。 2022/10/14
林
5
「タイムマシン」に乗って江戸時代の日本に来たとしても過去に来たのではなく江戸時代のように見える場所に移動したとしか言えない(どんな現象を観測したとしても過去に来たとはみなせない)、という話のように、テレポート(瞬間移動)も、どのような現象を観測したら本当に瞬間移動したと言えるのか(言えないのか)、について考えるきっかけになりそう。2023/12/05
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