その規約、読みますか? - 義務的情報開示の失敗

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その規約、読みますか? - 義務的情報開示の失敗

  • ISBN:9784326404063

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内容説明

ウェブサービス、保険、カードなど、さまざまな契約に伴う長大な注意書きをきちんと把握することは可能なのだろうか。法律は十分な情報提供とそれに基づく判断を求めるが、「開示すれば良い」というのは幻想である。本書は人間の情報処理能力に関する科学的知見をもとに、契約社会の限界について議論し考える上での材料を提供する。

目次

まえがき

第1部 開示義務の遍在性

第1章 はじめに

第2章 複雑な意思決定,複雑な情報開示
 集中的な問題
 根深い情報開示
 膨大な問題,膨大な解決策
 結 論

第3章 開示義務の失敗
 開示義務の目標は何か
 開示義務の失敗の証拠
 結 論


第2部 なぜ情報開示は失敗するのか

第4章 「何でも同意します」:開示義務の心理学
 意思決定嫌悪
 開示義務と社会における運用
 結 論

第5章 情報開示を読む
 リテラシー
 計算能力
 領域に関するリテラシー
 リテラシーの問題は解決できるか

第6章 分量の問題
 蓄積の問題
 過重負荷の問題

第7章 情報開示から意思決定へ
 汝自身を知れ
 限定合理性:歪んだ認知,歪んだ意思決定
 行動経済学は問題か解決策か
 第2部の結論

第3部 開示義務を有効に機能させることはできるのか

第8章 シンプルにすれば良い?
 はじめに
 言葉のシンプル化
 シンプル化したプレゼンテーション
 点数化
 食品ラベルの例
 結 論

第9章 情報開示の政治学
 開示義務の効果の自明性
 格言が具体化する:トラブルの物語
 格言と予算
 格言と可能性の技術
 開示の広がり
 立法者の集団行動問題

第10章 開示を作る
 開示者から見た世界
 ルールに従う
 裁量のある義務づけ
 開示を伝える
 事例:利益相反の開示を行う
 結 論

第11章 少なくとも害はないのだろうか
 規制を悪くする
 意思決定を悪くする
 市場を悪くする
 不公正を増大させる
 最悪,致命的
 結 論

第12章 結論:開示主義を越えて
 義務づけなしの情報:仲介者の役割
 万能薬なき世界

参考文献・注
索 引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あぶらあげ

2
利用規約を読む人なんていない。されど当然のように「知っている」前提で契約は結ばれていく。そして立法者は情報を開示すれば、知っていれば社会問題を解決できると信じている。そんな問題を医者と法学者の立場から考察しているところが極めて面白かった。果たして情報開示主義が善なのか悪なのか、アメリカにおける商取引の歴史から紐解いていく態度と立法論から見る論理的整合性が魅力だと感じた。2025/06/07

まさやん510

2
利用規約やインフォームドコンセント等の情報開示とそれに基づく同意という仕組みが、実際上はほとんどうまく機能していないこと、その原因や解決策(ただしすべての試みが失敗...)等について、実際の事例を多く交えながら論証していく。 日本でも定型約款に関する規定が改正民法で設けられるなどして関連する動きがあり、本書も多くの示唆に富む。 iTunesの規約の長さや「ベッドシーツ」の例は笑ってしまった。 情報開示義務を事業者に課すことは政府にとってコストが低く、効果はさておき導入しやすいという話はなるほどなと思った。2023/01/07

takao

2
ふむ2023/01/08

Go Extreme

1
https://claude.ai/public/artifacts/3b515feb-80ec-498c-9740-c417fe6f6a2a 2025/06/26

jntdsn13

1
最近無制約に広がり続けている義務的情報開示は却ってその目的を残っていることを論証する本。観念的な情報の非対称の解消というのがその義務的開示がなされた文書の専門家以外には時間とリソース上、もっぱら混乱をもたらすだけであることを論証している。くどいところはあるのでイントロダクションと終章だけ読むのでいいとは思うが、得るものは非常に大きい本。利益相反の告知が相手方の情報理解制度が下がるというのは特に衝撃だった。2023/03/06

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