内容説明
能力主義と自己責任、家族の多様化、ジェンダー不平等、承認欲求とアイデンティティ……。
現代の閉塞感に風穴をあけ「誰もが息のしやすい社会」を構想する希望の論考。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katoyann
25
教育学者による居場所論である。学校価値が家族をも取り込み、社会全体が競争主義的傾向を強める中で、自己の承認がより根源的なレベルで求められるようになる。その問題を教育学やジェンダー論の先行研究から分析している。子どもはもちろんのこと、若者や大人も含めて全ての人が一生の中で評価的な視線に晒されるため、承認は日本社会の課題である。著者は、サードプレイスの重要性を解きつつ、市場価値に還元されることのないような関係ベースのオルタナティブな居場所を構想している。現代的な居場所論としてオススメしたい。2023/03/27
akihiko810/アカウント移行中
22
「居場所なき時代」に、どのようにすれば居場所ある生を生きられるか、という考察。印象度B- うーん、読みたかった内容とは絶妙に違ったかも。「具体的な居場所の提言」がもっとほしかったのだが…。あと、自分はありがたいことに「居場所のある人間」なので、特にこの本の「孤独」とかには共感しなかった。 自分の居場所としては、NPOのたまり場(さいたま)と、将棋道場。前者は適当に何をやって過ごしてもいいし、後者は幅広い年齢層の人と趣味の将棋で繋がれる。かけがえのない場所だ。あと、家族とも関係良好だし。2024/02/07
いとう
9
巻末『おわりに』に「研究書ではないから、そこまでしっかり検証できていないことでも、自由に書いていきましょう!」の出版社の声があり、著者も社会構想のための議論をはやめるためのも「論理性や実証性の穴が無くなるのを待っていては」ダメとの思いがあったようだ。これにより内容には著者の推測が前面に出ている箇所が少ないくないが、それでも、著者の鋭い分析とデータ収集力が光る。特に、p25『学校の過剰居場所化』p74『学校から外れたときのリスク増大』の項目では、現代の居場所の問題が丁寧に説明されている。→2023/11/06
てくてく
6
不登校になった子の「居場所」作りといったように、家と学校や会社以外のサードプレイスとしての「居場所」の重要性を指摘されることが増えてきたが、その「居場所」とは何なのかをはじめとする考察集。研究などの出発点だった自分が「ないもの」になっていた経験、不安が他者や世界への関心を奪ってしまうこと、マイノリティ性を持つ人ができるアクションとしてノイズを立てることの指摘など、なるほどと思う点が多々あった。2025/07/03
LongRide Taka
6
図書館本。表題に惹かれて借りた。永く技術屋をやっている僕にとって新しい語彙に溢れいる本―過剰居場所化、ストレーター、標準家庭、ピンクワーカー、マミートラック、パワーエリート女性の名誉男性化、ルサンチマン、ロマンチックラブイデオロギー、家族幻想、家族機能の外部化、ファーストプレイス・セカンドプレイス・サードプレイス・・・。日本の世帯も磯野家から野原家へ、それ以上に変化している。居場所を用意する前に昭和的な価値スケールでは計れる社会でないってことをしっかりと認識する必要がある。示唆に富む刺激的な本だった。2022/12/18
-
- 電子書籍
- 寮則は恋に甘し~現住所、男子寮につき~…
-
- 電子書籍
- ヒナまつり【分冊版】 61 HARTA…
-
- 電子書籍
- レイトン教授と怪人ゴッド
-
- 電子書籍
- シークを愛した代償 アズマハルの玉座 …
-
- 電子書籍
- プリンスは失踪中 ハーレクイン