内容説明
突如としてはじまったロシアによるウクライナ侵攻により、国際社会は冷戦期以降最大の緊張感に包まれています。しかし、ロシアの行動はなぜこれほどまでに非難されているのでしょうか。それを読み解くカギは「国際法」にあります。本書では、とくに軍事力の行使に関する国際法を、イラストを交えながら分かりやすく解説しつつ、現在の国際社会の中で「許される」軍事力行使と「許されない」軍事力行使の境界を探ります。著者はSNSなどで人気の国際法・防衛法制の研究者・稲葉義泰氏です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
35
ウクライナ侵攻でなぜロシアの行動は非難されているのか。読み解くカギとなる国際法を解説した一冊。古代からの戦争を許さないためのルール作りの歴史、17世紀から20世紀の無差別戦争の反省から生まれた武力行使を禁止した国連憲章。武力行使の範囲や許される軍事力行使、機能しなくなった安保理と総会による補完、自衛権の行使、集団的自衛権や先制自衛、テロ攻撃に対する自衛権、軍事作戦や在外自国民救出、人道的干渉の考えた方やPKOの変化などいろいろと参考になりましたけど、ロシアのような強引なやり方だとそれも意味がないですね…。2022/11/06
金吾
27
わかりにくい武力行使のルールを国際法を紐解きながらわかりやすく解説しています。特に第2章から第4章にかけての軍事力行使の話は例もあるためイメージアップが図れました。ロシアのウクライナ侵攻の合法性の有無の話は明白なロジックで良かったです。2022/12/07
オズ
3
ロシア・ウクライナ間の問題についても言及されている。ほかイラク、シリア等々2023/11/01
時雨
2
2022年9月初版。/国際法というただでさえふわっとしたイメージのあるテーマを、しかも一般向けに簡潔明瞭な解説を試みた1冊。大戦の惨害を経て戦争が原則違法化された国際社会において、例外的に武力行使が認められる場合(安保理決議に基づく措置、自衛権行使)とその要件を紹介。このほか議論のある武力行使の事例(在外自国民救出、人道的介入、PKO)、さらには昨年2月以降のロシアによるウクライナ侵攻を合法性の観点から検討する。ウクライナ侵攻然り、台湾有事と敵基地攻撃能力の議論然り、現在的な論点の基礎を理解する上で有益。2023/02/05
ushimanm5
2
新進気鋭の国際法学者稲葉義泰の二作目の著作 前作は自衛隊が法的になにをどこまでできるのか?に焦点を当てていたのに対し、本作はニュートラルな視座から国際法上の戦争を取り扱っている。 入門書的なかわいい見た目をしているが、ウエブスタフォーミュラや外的・内的自決権等、今日の国際紛争や我が国の国防にも関わる要点を抑えた一冊になっている。2022/10/06