内容説明
元治元年三月、筑波山で蹶起(けつき)した天狗党の首領格・藤田小四郎は、攘夷の使命に燃える水戸藩士であった。武芸に秀で責任感が強いが、向こう見ずな性格でもある。安政江戸地震で家屋の下敷きになったとされる、父・東湖の死の真相。小四郎自らが巻き込まれた蔵の中での不可能殺人。天狗党を援助する大店での傷害事件。それらを同じ手習所で学んだ昔馴染み、漢方医・山川穂継と共に検めてゆく。さらに最終話では、過酷な真冬の行軍だったとされる天狗党西上の際、戦場に度々現れた殺人鬼〈化人(けにん)〉の謎を大ボリュームで活写する。天狗党の向かう虹の涯(はて)には何が──。『恋牡丹』『雪旅籠』で注目の著者が贈る、最新連作長編。/【目次】天地揺らぐ/蔵の中/分かれ道/幾山河
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハッピー
5
【図書館】ダ・ヴィンチの新刊情報で気になった初読みの作家さん.尊王攘夷の巨星として全国から尊崇を集め,幕府の海防参与,政務参与に任ぜられた水戸藩の前藩主徳川斉昭の右腕と頼む存在だった藤田東湖を父に持つ藤田小四郎.ミステリーの短編3つと天狗党の乱が描かれています.芹沢鴨が所属したぐらいしか分からない幕末維新期のマイナーな水戸藩を題材にした1冊.2023/04/08
ちゅう
2
水戸で生まれて育って、でも、天狗党については、ほとんど知りませんでした。虹の涯には、知っている、どころか住んでいる所が出てくるし、藤田東湖のお墓は、よく遊んでいた場所です。なぜ知らないのか?それは、天狗党、諸生党どちらの子孫もいるから、学校や地元では、話題にしないらしいです。歴史小説も推理小説も好きな上に、地元の話なので、興味深かったです。戸田義長さん、他の本も読みたいです。2024/05/22
こまそらねこ
2
新聞で紹介(宮部みゆき氏)されていたミステリー時代劇。 背景は大河ドラマ(青天を衝け)を観ているとわかりやすい。 天狗党の壮絶な最後にむかうまでは青春小説のようなミステリーなんだが、最後の章が本当に壮絶。 ミステリーと忘れていたのに犯人指摘で、辛い。 著者の最初の小説も読んでみようと思う。2023/03/04
蝉、ミーン ミーン 眠ス
2
明治維新自体が結果オーライの権力闘争でしかないので天狗党に絡んだ水戸藩の内ゲバが似たような行き当たりばったりさなのもさもあらんといった感じだったが、あの藤田東湖の子がその動きに参加していたことは知らなかっので、一連の事件を含めた動向は興味深く読めたし、最後のダイイングメッセージはいかにも時代小説らしさがあって面白かった。2023/01/02
宇治金時
1
硬い本だったわ。もうちょっと柔らかい表現だったら読みやすいのに。2023/05/04
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