内容説明
突然東京を離れ、父親の田舎、岩手の朱瑠町に引っ越すことになった解人。古くから山神様が祀られている山のふもとで、慣れない新生活を始めた解人だったが、身のまわりで次々と奇妙なことが起こる。いぶかり、苛立つ解人の前に謎めいた男の子が現れた。「しゅるしゅるぱん」と名乗る彼は、いったいだれなのか。なぜ解人にだけ姿をみせるのか。解人の家族の現在と過去を行き交いながら、その謎が少しずつ解き明かされていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
105
お気に入りさんの感想とこの本の題名にひかれて図書館から借りてきました。読んでいるうちに最近読んだ浅田次郎さんの「神坐す山の物語」を思い出してしまいました。この本では舞台が岩手ですが、遠野もこの県にありこのような物語があってもいいというふうに感じました。子供向きですが大人が読んでも読むにたえるいい作品でした。2017/12/23
優希
41
しゅるしゅるぱんとは何かが気になりますね。父の実家である岩手に引っ越した解人が聞いた「しゅるしゅるぱん」という言葉。その後実際に同じ名前を名乗る少年に出会うのが不思議でした。終戦直後から現代までの時間を境目ない場所で語られるのにも興味深いところです。2023/06/23
あたびー
40
父の故郷である岩手の田舎、朱瑠町に引っ越してきた解人は、奇妙なことが起きると家人が「しゅるしゅるぱん」と口にするのを聞き、その後転校先の教室でしゅるしゅるぱんと名乗る不思議な少年に出会う。終戦直後から現代まで、四代にわたって繋がる家族そして異界との境目が淡い場所の物語が紡がれる。生まれなかった子供しゅるしゅるぱんと、各世代の子供たちとの交流は胸に迫るものがある。2022/08/08
おゆ
29
叶えられなかった夢ややり場のない哀しみは、どこへ行けばいいのだろう。持ち主すら忘れはてた思念は。輝かしく未来を照らした日々もあったはずのそれらが、あるとき姿を持って現れる。「しゅるしゅるぱん」は合言葉。人恋しさに降りてきた山神さまの悪戯に、村人たちが言う「気付いてますよ」。見えなくても、話せなくても、そこにいるのでしょう。それは優しくてとても残酷な名前になる。「かあさんがそう呼ぶから」。ごめんね、辛くて忘れるしかなかったことも、全て含めて私だったね。しゅるしゅるぱん、見えなくてもそこにいる。2018/05/18
杏子
29
しゅるしゅるぱん、という響きが気になって借りてみた。ちょっと万城目学さんの『しゅららぼん』に似た響き。何だろう?と思ったら、とある町の風習みたいなものだった。何かがなくなったり、おかしなことがあった時に呟く言葉。おまじないのようなものなのかな?時系列がバラバラでどうなるかと思ったが、最後には収束。時代を超えた繋がりのような温かいものを感じた。しゅるしゅるぱんの正体が意外だった。絶対、それだと思ったのに。小学生にはよっぽど読む子でなければ無理だと思う。大人が読んだ方が面白く感じられると思う。2017/09/09
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