内容説明
生まれたばかりの娘を置いて、妻はどこへ消えたのか――。世界が新作を待ち望む作家、余華の8年ぶりの長編。
20世紀初頭の清末民初、匪賊が跋扈し自然災害が襲う混迷の時代、林祥福は、兄とともに南方の町「文城(ウェンチョン)」からやって来た女・小美を妻にする。束の間の幸せが訪れたが、小美は生まれたばかりの娘を置いて姿をくらましてしまう。林祥福は娘を連れて妻の故郷を探す旅に出るが……。人災と天災、過酷な運命に翻弄され、それでも強く生きていく人々を描く大河巨編。
中国で100万部突破! 余華が20年あまりの歳月をかけて書き上げた、世界的ベストセラー『活きる』の前史。
「この儚くも強靭な人生を見よ! 作家として嫉妬し、いち読者として感嘆し、中国にルーツを持つ者としての誇らしさが止まらない。」東山彰良氏推薦
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Vincent
9
20世紀初頭の清朝滅亡後の動乱期。主人公の誠実な商人が不思議な運命に翻弄されていきます。なかなかの完成度で作者の才能とセンスの良さに脱帽。がしかし中盤以降に続出する残虐な場面の数々に閉口。おそるべし中国。2022/12/11
冬薔薇
6
波瀾万丈、怒涛の大河ドラマ一気読みのようでドッと疲れた。やはり面白い。清朝滅亡、軍閥混戦、匪賊横行の世、大陸を南へ北へ向かう男女。娘を残して去った運命の女小美を探し旅に出る林しょう福、幻の町文城を目指す。竜巻、大雪、人攫い、人情厚き人々との出会い、悲喜交々の十数年。惨劇の合間の笑いと涙のドラマ。愛するものたちの運命のすれ違い、ラスト死後の再会は泣かせる。2023/01/17
烏骨鶏
3
中国の北方の地に住む若者の元へ、旅人が訪れる。 清の終わりから民国への変動の時期を背景に、故郷を離れ、消えた妻を捜して旅した青年が住み着いた町での半生。そして後半部、南方の農村から町へ嫁いだ少女とその半生が謎解きのように描かれる。初めてこの方の作品を読んだのだけれど、解説とは又別に、私はパール・バックの「大地」を思い出した。あ、いや、半世紀近く前の事なんで、おぼろなんですけど、つまり、前時代の生き方をもち、変容する社会に弄ばれながら生きる人々の姿、みたいなところなのかな、重なるのは。2022/11/20
耳
1
淡々とおもしろい。人の人生について書いた本がやっぱり好き。2022/11/06
Arte
0
清末の匪賊跋扈時代の泥棒の浮舟の話。素晴らしい。2024/02/17