内容説明
社会人二年目、丸印出版の企画営業部(雑誌広告担当)に勤める西富(ルビ:にしとみ)みのりは、
ノルマに追われる日々を送っていた。
休日の外回り中、雨宿りのために偶然立ち寄った湘南の青果店『フジミ青果』で、
みのりは〈野菜嫌い〉の店主・亮二(ルビ:りょうじ)と出会う。
その店は、一見ごく普通の青果店だが、
実は野菜も果物も売っていない「青果のコンフィチュール」専門店だった。
試食をさせてもらったみのりは、そのおいしさに感動すると同時に、
このお店をぜひ、自分の担当するグルメ雑誌で紹介したいと強く思う。
そんな話を切り出したみのりに、それまでの優しそうな表情を一変させた亮二は「帰れ!」と一喝するのだが――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆのん
54
出版社の企画営業部でノルマに追われる日々を送る主人公。雨宿りが縁で知り合ったのは青果店で手作りコンフィチュールを扱うイケメン。野菜嫌いな店主の作るコンフィチュールがとっても美味しそう。読む前にはコンフィチュールって何?と思っていたが、なんと私が『ジャム』として作っていたものが実はコンフィチュールだったとはビックリ!私が作るのは苺、キウイ、ブルーベリーだけ。作品に登場したトマトやバナナは作ってみたい。ちょっと怖そうで実は優しい店主と鈍感ぎみな主人公の関係の変化も面白い。ただ私にはちょっとキラキラ過ぎたかも。2022/10/04
まる子
19
#NetGalley 雨が降って来なければ出会う事もなかった初めで食べたコンフィチュール。自分なりにやっているはずだった仕事が思うようにならないもどかしさ。根性と諦めの悪さを持つ西富みのりは、そんな中に様々な人を通して気づかされる。「自分は人に寄り添えているか?」「自分が作りたいものは何か?」と。異性にちょっぴり鈍いみのりと、あの人が重なる時、ちょっぴりしあわせが見えて来る。彼は今日も懐かしさを思い出しながら瓶の中に色とりどりの"しあわせ"の魔法を。人との繋がりや優しさは、美味しい食べ物が運んでくる!2022/08/21
みっくん
12
初めて読む作家さんで営業職でのるまに苦戦しながら奔走する主人公の西富みのりが急な雨にあって雨宿りした時にたまたま出逢った青果店に足を運んだことから話は始まる。タイトルにあるコンフィチュール、今まで知らなかったジャムとの微妙な違いをはじめ、一風変わった店主との関わりが話のメインになっていて、食べ物が題材になっているのもあるかもしれないですが、ここ最近でサクッと読めて楽しめる作品でした。他の作品にも手を伸ばしてみようかなぁ。(^_^)2022/11/12
くり
2
ただただコンフィチュールが無性に食べたくなる!ヨーグルトに、バゲットに、かき氷に大量にかけて味わいたい!グルメ情報誌の営業マンの成長と、野菜嫌いな青果店店主があーだこーだ言いながらも良い感じに。時には厳しく時には甘く彼らはとても面白い。2022/12/26
宵ノ月斗夢
1
常に営業成績がノルマを達成出来ない主人公。 そんな主人公が、広告を取りやめるクライアントを 説得すべく偶然訪れた野菜嫌いが故に野菜を 売らない八百屋での出会いと出来事で 仕事への考え方やモチベーションが変わる お仕事小説。 言葉紡ぎが秀逸な一冊です。2023/01/19