内容説明
関ケ原が戦場となったのは重なる偶発の結果だった!? 立花宗茂は将軍家光から〝天下分け目〟に関して考えを述べるよう命じられる。神君家康を軽んじる失言をすれば、将軍の勘気に触れる。だが真実を話さねばなるまい……天下無双と呼ばれた男の矜持が輝く歴史長篇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
129
関が原の戦いで毛利勢が動かなかった理由を毛利秀元の告白で知り、最後の戦国武将と呼ばれた立花宗茂は愕然としたに違いない。強い意志で組織を引っ張るリーダーも、実務を動かす中堅層を掌握せねば無力だと。毛利の中堅層が楽しての現状維持を望まなかったら、目の前にいる天下人は家光ではなく秀頼だったかもと。家光や松平信綱も同じことを感じ取り、若い将軍を軽視する親族や大名を引き締めるため加藤家改易を強行する。実力で全てを決する戦国は終わり、権力者の眉の曇りに一喜一憂する時代に自分の居場所はないと宗茂は悟るしかなかったのだ。2023/05/06
がらくたどん
71
長い戦の世が終わり覇者家康も既に「神」となる。父に尻を叩かれ頑張った二代秀忠も隠居し「戦を知らぬ」初めての将軍三代家光が世を統べる。周囲にはまだまだ元「戦国の将」が矍鑠としているのに。気負いと開き直りと爺ちゃんへの憧れを一身に背負った家光の教育係爺さん連の一人として生きる元西国無双立花宗茂の枯れそうで枯れない「立花の義」の残照を関ケ原の「あの時」の家康の真意・「戦国」を共有できる千姫への思慕・徳から法へ慈悲から処罰へと転換される治世哲学の奔流を通して描く。いかに切なくても老木は若木の肥しとなればこそでは?2023/09/03
Willie the Wildcat
59
自称「生まれながらの将軍」が求める”理”、東照宮の神髄。”関ケ原”、反面教師となる毛利家。振り返れば、緊迫感滲むこの3者会談が、ハイライトであり核。終盤で、天寿院のことを宗茂に釘さす家光。その後の自身の政治指針への覚悟の表れでもあり、加藤家改易や忠長改易など武断政治の端緒。一方、うん?となるような史実との乖離・違和感を感じる件がある。加えて、(外様の相伴衆となれば仕方のない面もあるが)前述2つの改易などにおける中途半端な立ち回りなどにもモヤモヤ感。2024/04/27
ケイト
59
関ヶ原での毛利軍の不可解な行動、この闇がとってもミステリアスだった。もし天下分け目の関ヶ原の戦いに宗茂が間に合っていたら、歴史は変わっていたのかもしれない。家康が一番恐れていた武将は、この人だったのかもしれない。15歳の時戦場で勇壮に闘うことが誾千代に愛されることだと思っていた宗茂。年をとって思い返し笑っていたが、なんかいいなぁ〜と私は思う。根回し心配りの宗茂は晩年心穏やかに生きたのだろう。2023/06/02
たま
59
新人作家さんだが、文藝春秋で編集者をされていたとのこと。堂々の筆遣いに時代小説の楽しさを味わった。秀忠から家光への代替わりの時期、立花宗茂が家光に請われて関ヶ原を語る「関ヶ原の闇」、その折り近づきになった天寿院(千姫)と東慶寺を訪れる「鎌倉の雪」、加藤家改易騒動に心を痛める「江戸の火花」の3編。なにぶん江戸時代のこと、身分立場を慮って人々が慎重なのが焦れったくはあるが、宗茂の気配りと機微を読む力、心情と行動に筋の通った清々しさが心地よい。戦国が終わり、新しい時代に適応を迫られる人々の物語でもある。2023/01/17
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