内容説明
新型コロナウイルスの飛沫飛散シミュレーションでも広く知られ、スパコン性能ランキングで世界一を4期連続で獲得した「富岳」。
感染症のみならず創薬や気象・気候変動への対応、災害や流通など、複雑化する諸問題解決のカギを握る次世代スパコンは、いかにして生まれたのか?
中国やアメリカに一歩先んじて開発を成功に導いた「富岳」のリーダー松岡聡さんが、アメリカの宇宙開発計画に学んだ開発秘話、GAFAなき日本の世界での闘い方、社会インフラとして「使ってナンボ」のスパコンと未来予想図を語り尽くした比類なき一冊。
ガラパゴス日本の闘い方のヒントがここにある――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
118
先代の「京」の開発時、「2位じゃだめですか?」と迫られたスパコン開発。著者は、その発言が、スパコンの意義を改めて考えるきっかけになったと言う。それが、計算速度1位に拘る使いにくいスパコンではなく、アプリケーション・ファーストの汎用性という設計思想に繋がる。高さだけでなく広い裾野を持つ富岳(富士山)のように。現代のスパコンが、CPUの数を増やす並列処理方式が主流であること、消費電力の削減が大きな課題であることなどを知る。少ない予算の中で、米中政府やGAFAMの巨人と伍して闘ってきた著者の思いが迸っている。2023/03/06
kei-os
5
「富岳」の設計開発を先導した著者による、スパコンの歴史とその研究を説明した一冊。自らも「TSUBAME」を開発した経緯を持ち、かつマイコンに没頭し育ってきた著者の目線で紐解かれるスパコン・パソコンの歴史が読んでいて興味深い。最高峰の「ヲタク」のひとつの姿がここにある。もちろん「富岳」の下地となる環境や技術は国内研究の水準の高さによるものだが、その開発も評価も、複数の偶然の上に成り立っていたのだということがよくわかる。2025/04/27
けろ
4
2022/10/20に発売された本。読書メーター一番乗りっぽい。とてもおもしろい本だった。技術的なことというよりも、どのように考えて何を思ってスパコンを作っているのかなどの思想が獲得できる熱い本だと思う。著者が任天堂の岩田さんといっしょに池袋で出会ってHAL研でゲームを作っていた話などもあり、わくわくさせてくれる本であると思う。スパコンの使い方についてもメッシュを切るなどの概要を伝えてくれていて、ラズパイとかで分散コンピューティングを試すのもアリなのかなと思った。2022/10/22
スコットレック
3
見習いたいと思ったのは著者の方の前向きさ。あの有名な蓮舫議員の「2位じゃ駄目なんですか?」発言。それを「スパコンの存在を国民に知ってもらう事ができた。」と振り返る。ファミコンのソフトの開発に関わっていた事もあったとは!"いかに失敗を許す環境を作るか"等、他の分野の仕事でも参考になる話があります。自分の目標が明確にある人の話は前向きな気持ちにさせてくれる・・良書。今後、感染症、気候変動、災害etc・・。様々な対策のためにますます重要になってくるであろうスパコン。その実態を知るためにも手に取って損はない新書。2022/10/30
あきら
2
面白かった。パソコン富岳が使い倒されてナンボという考えを根底に持ったスパコンだと初めて知った。面白かった。2023/06/09
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