内容説明
「死刑が執行されても何も変わらない」――大阪市浪速区・姉妹殺害事件、東京都文京区音羽・女児殺害事件など、凶悪犯罪で大切な肉親を奪われた遺族は、どんなにつらくても「事件後」を生きていかなければならない。彼らが心の奥底からしぼり出した赤裸々な「語り」を丹念に聞き取った渾身の社会派ノンフィクション。
●「泥棒が家に入ってきてお金やらなんやら取ったとしますやん。入ってきてものを食べたりしたかもしれん。その程度のことは許してあげてもいい。ぼくはそう考えてる。(中略) 子供ふたり死んだときにね、ぼくがお通夜の挨拶で最初に言うたことは、神様に嫁に行かせたと。神の世界に嫁に行かせたら帰ってけえへんな。何年経っても帰ってけえへん。娘たちが夢に出てくるだけ幸せや」――(大阪市浪速区・姉妹殺害事件の被害者遺族 上原和男さん)
●「犯人が死刑になったからといって、父や母が帰ってくるのではないので、死刑は罪の償いではないと思う。(中略) 人を殺めるという罪を犯したので、その謝罪をかたちで表すのは死刑でしかないのではないでしょうか?」――(栃木・牧場経営者殺害事件の被害者遺族 渡邊早月さん)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Maiラピ
28
1,2、3章を読んで、これって興味本位で手に取っちゃいけない本なんじゃないかって、被害者の家族の辛い現状を知り、後ろめたい気持ちになった。がしかし、そうじゃなかった。遅れた司法制度、被害者支援の在り方、日弁連、法曹三者のスタンス、メディア、社会の問題が多く提起されいるのに気付き知り、考えさせられた。犯人が捕まったら、判決が出たら、死刑が執行されたら、ピリオド。でも遺された被害者家族は終わってないのだ。生きてる限りずっと続く。誰もが被害者や被害者家族になりえる。この国に住んでる限り他人事ではないのだ。2013/03/15
kenkou51
4
犯罪被害者遺族の事件後の語りを取材したもの。家族や愛する人がある日突然殺され、この世にいなくなることが、遺族にとって深い悲しみになり、ある程度時間が経過してもなかなか傷が癒えないということが分かる。日本の司法制度についてもいろいろ考えさせられます。2013/12/06
大ぶぶ漬け人
3
犯罪被害者遺族の思いを主として記している。『心にナイフをしのばせて』と同方向の内容だが、こちらは複数の事件を取り扱っているので幾らか視野が広い。難解な理論を記した本ではないので、読みやすくはある。被害者遺族や死刑制度に興味を持ち、読み始めるには良い本ではないかと。死刑存置寄りの書物かと思います。2013/03/22
リョウ
3
一口に犯罪被害者といってもいろんなスタンスの人がいる。やっぱり刑事司法はあまりにも被害者のことを蔑ろにしてきたんじゃないか。確かに、弁護人の活動、特に若手よりいわゆる重鎮の弁護人が被害者を二重三重に苦しめていると言うのは実感としてもよく分かる。これからは単に国家権力と戦う俺かっこいいと考えるような勘違いは淘汰しなければならない。2011/08/13
水沢晶
2
被害者や被害者遺族が置き去りにされている状況、その悲惨さに戦慄した。2020/01/31
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