内容説明
農業生産者のサポートや「夜のパン屋さん」「大人食堂」など食品ロス×飢餓ゼロ運動に力を注ぐ人気料理研究家が伝える、未来を捨てないために今考える食のこと。藤原辰史京都大准教授との対談、食材にも体にもやさしい保存法やレシピも。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
55
【「食べて生きていく」という人の営みの大本を大らかに肯定しながら、子どもたちに残すべき地球の未来を守っていきたい】料理研究家が伝える、未来を捨てないために、今、考える食のこと。藤原辰史京都大准教授との「女に押し付けられるものがある?」「奪い合うパイは地球にはもうない」など3つの対談収録。食材にも体にもやさしい保存法やレシピも。<捨てることが前提のシステムが持つ息苦しさは、常に値踏みされ競わされる私たちの苦しさのように思えてきました。“フードロス”を考えることは、“未来”を捨てないことにつながっていく>。⇒2023/05/16
昭和っ子
19
「保存食として消費されている商品の多くは、戦闘糧食に由来しているんです」ナポレオン戦争時の缶詰、明治期の軍隊で脚光を浴びたたくあん、福神漬け、水さえあればすぐスープになるブイヨン、コンビニに並んでいるプロテインバーとシリアル。「それは、私たちの日々の仕事が戦場化しているという事だと思います」「楽しく食べること。誰かを傷つけずに食べること」を目指す枝元なおみさんが、実践の足がかりを歴史家の藤原辰史さんとの対談で探っている。大量生産・大量消費・大量廃棄のループから抜け出そうとする素晴らしい試みを参考にしたい。2022/11/22
joyjoy
10
藤原辰史さんとの対談に惹かれて読む。が、枝元さんの「夜のパン屋さん」、「チームむかご」など様々な活動の様子も興味深かった。今、食品ロス削減に取り組もうとすると、ちまちましたことばかりだったり、何か捨てるたびに後ろめたさが出てきたりするなぁ、と感じていたところだったので、「輪を広げていくためには、大きな問題への視線を持ちつつ、意外に楽しいからやってみれば?とか、その知恵すばらしい!とかボトム同士で楽しみながら、システムを変えるところまで元気を積み上げる…そんなパワーが必要」という言葉に元気をもらう。楽しむ!2022/11/17
チェアー
8
善意、というものは資本主義を根底から覆す可能性を秘めている。お金を取らずにサービスやものを提供する。それを当たり前として受け取る人がいる。出す側も受け取る側も、その瞬間ごとには資本主義の軛から解き放たれている。 だから、決定的な局面では自分なりの善意をベースに行動を決めることだ。「もったいない」「あれを作ってあげたい」と湧き上がってくる感情をベースに行動することだ。1日のうちわずかな時間であっても資本主義の論理から離れる時間を確保する、意識する、それはとても大事だなと感じる。 2023/02/07
Olga
4
料理研究家である著者は捨てることが前提のシステムに違和感をおぼえ、解決策を探る。あとがきの「子どもたちに、未来に、希望を手渡せるように明るく前向きな気持ちで進みたいです」という言葉に激しく同意。藤原辰史先生との対談もよかった。それにしても、作ったチョコレートを某所で売ろうとしたら、売上の40%を取られると知り、驚いたというエピソードにはわたしもびっくりした。さすがに取りすぎでは……。2022/11/17