ちくま新書<br> 社会主義前夜 ──サン=シモン、オーウェン、フーリエ

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ちくま新書
社会主義前夜 ──サン=シモン、オーウェン、フーリエ

  • 著者名:中嶋洋平【著者】
  • 価格 ¥946(本体¥860)
  • 筑摩書房(2022/10発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480075109

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内容説明

サン=シモン、オーウェン、フーリエ。この三人の名を聞けば、多くの人が「空想的社会主義」という言葉を連想するだろう。だが、彼らの一人として社会主義を打ち立てようとした人はいないし、地に足のつかない夢想家でもない。現在から見れば、彼らは社会企業家や社会プランナーとも呼べる存在だった――。19世紀初頭、フランス革命と産業革命という二つの革命によって荒廃し、格差で分断された社会をどのように建て直すのか。この課題に取り組んだ三者の思想と行動を描く。

目次

はじめに
プロローグ
空想的社会主義
科学的・空想的
民主主義の不完全、資本主義の病理
社会主義という言葉の誕生
社会主義への否定的イメージ
社会主義前夜を問うことの現代的意義
第一章 市民革命と産業革命──社会をめぐる動揺と混乱
1 「社会」の出現
産業革命の時代
政治・経済の変動
思想的変動
2 フランス革命
アメリカ独立革命
変革が不可能ではないということ
フランス革命への道程
フランス革命勃発による大混乱の時代へ
3 革命の焼け跡の中で
サン シモン、ドーヴァー海峡の南側で
オーウェン、ドーヴァー海峡の北側で
オーウェンの挑戦
恐怖政治、安定のための一つの解
リヨンの反乱とフーリエ
憤るフーリエ
革命における残虐さ、経営における冷酷さ
第二章 ナポレオンのヨーロッパ──社会の安定を目指して
1 ヨーロッパ国際情勢の安定の中で
新しい力の台頭
産業革命下のイギリスで
治安維持という意味での救済
2 実践と思想の共時性
オーウェンの決意
オーウェンの工場改革
実践と思想の共時性
サン シモンと万有引力の法則のようななんらかのもの
サン シモン、社会を科学する
フーリエの壮大な思想
フーリエが語る人類の歴史
フーリエのファランジュ構想
3 社会の理想を描く
名声を獲得していたオーウェン
フーリエとオーウェンのすれちがい
労働者、なぜわれわれは働くのか
ヨーロッパ国際情勢の変転
万有引力の法則とヨーロッパの平和
英仏連合の模索
第三章 ウィーン体制としばしの安定──社会の理想を求めて
1 産業発展と自由、あるいは現実
ヨーロッパ社会再組織論
英仏連合論
平時という現実に引き戻されたとき
産業発展と自由
産業による富の増大と貧困層の境遇の改善
2 資本主義は悪なのか
機械に対する人間労働の価値下落
労働協同村の構想
理想郷(ユートピア)の問題
オーウェンの宗教批判
サン シモンの宗教批判
3 資本家と労働者の融和
オーウェンと労働価値説
オーウェンと協同体、そして農業
フーリエの葛藤
フーリエと協同体、そしてファランジュの構想
サン シモンの寓話
サン シモンと協同体、そして新しいキリスト教
フランス産業革命の開始
第四章 成長する資本主義の下で──出現した社会の問い直し
1 資本主義社会の矛盾
理想の実験としてのニューハーモニー
ニューハーモニーの失敗
フランス七月革命と資本家による権力奪取という現実
イギリスの選挙法改正
オーウェンから隔たっていく現実社会の動き
2 資本主義の否定か、資本主義の中での改革か
社会主義という言葉の誕生
チャーチスト運動と路線対立
イギリスにおける労働者階級の状態
共産党宣言
3 空想から科学へ
吹き荒れすぎなかった革命の嵐
馬上のサン シモン
とはいえ資本主義が問題であること
空想から科学へ、社会主義の科学的確立?
それでもなお……
あとがき
主要参考文献
年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ふみあき

63
後世「空想的社会主義者」と称されることになる3人、サン=シモン、オーウェン、フーリエの伝記(?)。フランス革命からナポレオン1世の登極、王政復古に七月王政、二月革命、そしてナポレオン3世の第二帝政と、歴史的叙述にかなりの紙幅が割かれていて、これぞ新書の鑑と言うべき親切設計。英国人のオーウェンが、現在われわれが考える社会主義者のイメージに一番近いか。ただしマルクス、エンゲルスと異なり、彼は階級闘争よりも資本家と労働者との融和を目指す。フーリエなんか、これを読む限り、ほとんど誇大妄想狂のようにも思えるが……。2025/01/17

ころこ

50
マルクスとエンゲルスから「空想的」と批判された人たちの話。マルクスの読み直しよりも、そもそもの批判は正しかったのか、「空想的」な中身を再訪してみて、そこに社会主義の別の可能性を考察している。オーウェンは先進的な経営者。児童労働をいち早く禁止し、学校をつくり時短を推進した。余った時間で夜学を開設する。飲酒の習慣を管理するパターナリズムが受け入れ難いだろうが、実践で結果を残す。サン=シモンとフーリエはインフルエンサーで、サン=シモンは科学革命と社会革命を一致させようとする。科学がより普遍性を帯びるように、社会2023/08/16

nbhd

22
「情念引力」。パンチのきいた破壊力満点のパワフルワードだ。フーリエさんが生み出したこの言葉に出合えただけで、この本を読んだ甲斐があった。社会主義前夜と題するだけあって、英仏の時代状況の描写は綿密丁寧に、3人の''空想的''社会主義者は時代のなかで右往左往四苦八苦するさまを群像劇的に浮かび上がらせていく。なかなか読ませるものがある。ま、10年後に覚えていることと言えば、「情念引力」それだけかもしれないけれど、それでいい。2023/09/10

さとうしん

17
社会主義はなぜ「社会」主義なのかという点に着目し、「空想的」社会主義者というレッテルを貼られているサン・シモン、オーウェン、フーリエの生涯と思想を辿る。オーウェンはニューラナークの頃までは何をやってもうまくいくという状態だったようで、その「無双」ぶりが面白い。彼らの思想は革命や闘争を前提としているわけではなく、現在の社会をそのまま取り込み、資本家と労働者との融和を志向しているという点から、21世紀の現在においてこそ参照に足る価値があるのではないかという著者の主張が印象的。2022/10/16

浅香山三郎

12
空想的社会主義といふ呼ばれ方で、科学的社会主義に対置されてきた、サン=シモン、オーウェン、フーリエの思想と実践を論じる。民主主義の不完全性と資本主義の生み出す病理の乗り越へのために生み出された彼らの思想は、マルクス主義の側から見ると、空想的だつたかも知れないが、当時の社会状況のなかで三者が各々の社会プランを出したことの意義を見出さうとするもの。評伝的な部分も多いので、思想そのものをもつと知るには、もう少し専門的なものを読む必要があるかも。2023/09/19

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