内容説明
江戸幕府が約260年もの長きにわたって安泰だったのは、家康が幕府草創期の慶長・元和期に基礎となる諸政策を実行したからだった。果たしてそれはどのようなものだったか。最新の研究成果で、江戸幕府草創期という死角を明らかにする、画期的な書。
本書は、慶長5年(1600)の関ヶ原合戦後から豊臣家が滅亡した慶長20年(1615)の間における、江戸幕府初期(特に家康の時代)の諸政策や諸問題を検討する。
関ヶ原合戦後の領知配分はどうやって行われたのか、「二重公儀体制」とはいかなる体制なのか、家康の対外政策はどんなものであったか。朝廷、交通、城郭、京都支配、大御所政治などを取り上げ、最新の研究成果でわかりやすく伝える。
革新者のイメージが強い織田信長や知恵者とされる豊臣秀吉に比べ、特に目立った印象がない家康、草創期の江戸幕府のイメージが本書により大きく変わります。
執筆は、渡邊大門、水野伍貴、小川 雄、花岡興史、神田裕理、鍋本由徳、曽根勇二、片山正彦、加藤 僚。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
akiakki
9
江戸幕府創成期における政策や問題というニッチ×ニッチなテーマを取り扱っています。当時の課題や権力の強さが見えてくるので政権の黎明期や末期を分析するには良い切り口なのかもしれない。例えば一国一城令は全国の大名に対して一斉に施行されたものではなく、特定の大名向けに限定的にお試しで施行されたのではという分析から、武家諸法度を制定する前は幕府権力が行き届いていないことが伺えます。2023/11/06
お抹茶
1
関ケ原合戦から大坂夏の陣を中心に家康が天下を取る過程を一般読者が読みやすい内容で記す。特に,「関ケ原合戦で豊臣家は完全に没落した」,「朝廷は武家の傀儡だった」というイメージに対して,なるべく史料や専門用語を使わずに,実態は違っていたことを説明する。例えば,関ヶ原合戦後に秀頼は大幅な減封措置を受けたが,東西両軍は互いに豊臣公儀を奉じた戦いだから秀頼に責めはなく,豊臣政権の威光は諸大名に影響があったことから,秀頼の地位はしばらく安定していた。家光による鎖国の前,家康は外交やキリスト教にどう対処したかにも言及。2023/11/06
Ryuji Saito
0
2023年19冊目。2023/02/10