内容説明
権力者のメンツ、エスカレーションの必然性、内政とのバランス……。
──戦争の構造は、驚くほど、いつも同じだ。
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1960年代、冷戦期に軍事アナリストとしてペンタゴンで働いていたダニエル・エルズバーグは、ベトナム戦争が権力者のメンツや選挙対策によってエスカレートしていくことに疑問を持ち、政府の機密文書「ペンタゴン・ペーパーズ」の暴露を決意する……。
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インサイダーによるリークは正当化されるのか?
戦争はどのように作られ、継続するのか?
なぜ権力者たちは、戦争を止めないのか?
彼らのメンツは、兵士や市民の命より大切なのか?
報道の自由とは? 国民の「知る権利」とは?
──戦争の構造は、変わらない。
──権力は、その力の維持を自己目的化していく。
資料を縦横無尽に駆使しながら、推理小説のように一気に読ませる歴史ノンフィクション。
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キッシンジャーは、米機が攻撃しているのは軍事関連、工業関連施設だとして空爆を擁護した。たまたま民家や病院に爆弾が落ちたこともあったが、民間人の死亡は気に留める必要なしと思ったのか、キッシンジャーはさらりと流して終わった。「一般市民の死者数はおそらく四〇〇名から五〇〇名にすぎません」(本文より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
koji
16
「推理小説のように一気に読ませるノンフィクション」との帯コピーは、些か羊頭狗肉で、そこ迄スピード感はありません。唯本書で語られる「米大統領の孤独、嘘、プライドとプレッシャー」は読み応えがあります。さて本書が曝くベトナム戦争からウォーターゲート事件に至る経緯は、映画でも復習できることが分かりました。ペンタゴン・ペーパーズ→大統領の陰謀→ザ・シークレットマンの「3本の映画」を、この順に観ていく事にします。更に今との関わりでは、露ウ紛争における米国の関わりはどうなるか。本書を元に米大統領の行動に注目していきます2023/02/22
no6
1
袖に「推理小説のように一気に読ませる歴史ノンフィクション」とあるがまさにそのとおりで、権力者はここまでやるのか!と、むしろ小説だったらやりすぎで嘘っぽいと思ってしまうほど。泥沼化した戦争としてベトナム戦争のことはもやっと知ってはいたけれど、こんなにも悪手が次々と繰り出されていたのかと。また情報工作チームがなんともへっぽこ…。現在起きている戦争もそうだけど、負けるわけにはいかないということが最優先になると俯瞰した判断はできなくなるんだろう。そして戦争でなくても権力者が嘘をつくことは我々日本人も知っている。2023/05/13
chuji
1
久喜市立中央図書館の本。2022年10月初版。訳下ろし。亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズⅣ-5。誰でも嘘はつくが、権力者の嘘は与える影響が半端ない。2023/01/16
とし
0
政府が真実を秘密にし、大衆に嘘の情報を伝えることで政府としての体裁を保つ姿が描かれている。一方で、主人公は自身のキャリアや命の危険を顧みず内部からの告発により真実を明るみに晒すことで政府の体裁よりも大事なものが何かを大衆に訴えかけるような構図が描かれている。 事の大小はあるが、会社でも本質的に似たような構図が発生しうるし、他人事ではないと感じた。 2024/10/26
61rsmma
0
難しそうな本なのに、読み始めると止まらないくらい面白い。いろんな人の想いが錯綜し、物事がどんどん進んでいく疾走感があった。特に各大統領の心情表現は面白かった。 また、末にある訳者のあとがきと同じことを思った。世界は変わっていないのではないか、昨今の情勢を考えるとそう感じる。戦争は始めると終わり方が難しい。ベトナム戦争では、権力者のプライドのために多くの尊い命がなくなったと思うとなんとも言葉にし難い感情がある。 2023/10/25
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