内容説明
母の看病のため実家に戻ってきた32歳の都(みやこ)。アウトレットモールのアパレルで契約社員として働きながら、寿司職人の貫一と付き合いはじめるが、彼との結婚は見えない。職場は頼りない店長、上司のセクハラと問題だらけ。母の具合は一進一退。正社員になるべき? 運命の人は他にいる? ぐるぐると思い悩む都がたどりついた答えは――。揺れる心を優しく包み、あたたかな共感で満たす傑作長編。(解説・藤田香織)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
馨
381
プロローグが結末なのだと私も騙されかけました。結末ではあるのですが。アラサー女性が共感しそうな感情が詰まっていた。親子関係や恋愛、仕事。都も貫一に対して、幸せを求めすぎていた。ちょっとぐらい不幸でも良い、という都の言葉にこちらもストンと腑に落ちました。貫一のうんちく話が凄い。2023/03/20
青乃108号
363
圧倒的な読みやすさで、600ページ超をあっと言う間に読ませる。32歳アウトレットのアパレルショップ店員「おみや」こと都と、中卒アウトレットの回転寿司職人の貫一の、これは恋愛小説と言っていいのか違うのか。都は良い人間だが今一優柔不断で一歩が踏み出せない。貫一も良い人間だが不器用で右に同じく。どうするどうするって言ってる間に時間は無情に過ぎていき、都は別れる決心をするのだが…。これは恋愛小説の範疇に収まりきらない、言ってみれば人間賛歌。地球って同じ軌道は2度と通らないんだって。人間って色々あるよね。2025/08/17
mae.dat
312
惑星運動に関するお話ではなかった(そりゃそうよ)。等身大女性の価値観問題ですかね。人生の設計もあるし、経済的安定を求めるのは不自然な事では無いですし、生活を共にするのにはそれだけでも無いですしね。こうあれば良いと言う明確な答えが無いですからね。30歳都さん。結婚もチラつくし、お仕事のトラブル(?)人間関係やらもややこしくなるし、ご両親も病気がちであったり、色々大変でしんどいねぇ。女性と言うのはそこ迄敵意に晒されているものなのでしょうか。小説だからだと思うのですが。後半の展開は目紛しいものがありましたね。2025/07/12
エドワード
282
恋愛の先に結婚がある、と信じる私には、心を底から揺さぶられる作品だった。母の看病のため故郷の茨城県へ戻り、アウトレットモールの洋服店で働く都と、回転寿司で働く貫一の出会い。中卒のヤンキーである貫一の姿が全く想像できない。父親を介護し、災害ボランティアへ行く。読書家で優しい反面、とことんだらしない。都と貫一の恋は、うまくいけばラッキーだが、不安でいっぱいだ。タイトルの言葉は、人間全てにあてはまる。人は家庭や将来に悩み、精一杯働き、一生懸命生きるのだ。都と貫一は幸せになれるのか?終幕の意外な展開に拍手だ。2022/12/05
ほんた
256
主人公の都は,自分に合った男性と結婚することができるのか。男性と女性の価値観の違いを考えさせられました。プロローグとエピローグのつながりに驚きました。 https://hontablog.com/自転しながら公転する2023/09/22