内容説明
人に絶望しても、性暴力に遭っても。愛する子を喪って、すべての「いま」に正解がないように思えても。人生には必ず意味がある。救えない人間などどこにもいないのだから――。母親の後ろに隠れていた少女が、異性の欲望に晒されて呆然とした青春時代を経て、自由を渇望し、自らの言葉だけで生きるに至るまで。気鋭の国際政治学者が、端正な文章で紡ぐようにして綴った等身大のメモワール。(解説・茂木健一郎)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そると
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瑠璃さんのようなポジションの女性は、自らの女性性に無関心であるかのように振舞ったり、ことさら男性的な自己像と親和的に振舞うことが多いように思う。でも瑠璃さんは男性顔負けの論客でありながら、かつ、自らが女性であることを謳歌しているように見え、とても不思議な人に見えた。本書を読むと今の彼女に至るまでの「硝子戸の内側」をほんの少し垣間見ることができる。自らの内からあふれる思いを、それが激しい痛みを伴うものであっても、一粒の水滴もこぼし逃さないよう丁寧につづられた文章の在り方が彼女の生き様そのままと感じた。2023/01/06