内容説明
徳川慶勝、一橋茂栄、松平容保、松平定敬――
徳川の傍流に生まれて幕末、維新の波に翻弄された
悲運の高須松平家・四兄弟。
彼らの近くにいて、激動の時代に
「生きる選択」をした女性たちを描いた物語。
新田次郎文学賞、本屋が選ぶ時代小説大賞をW受賞した『葵の残葉』に連なる作品です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pohcho
55
徳川慶勝、一橋茂栄、松平容保、松平定敬。悲運の高須松平家四兄弟を描いた「葵の残葉」に連なる物語。妻、母、姉妹など、彼らと縁の深い様々な女性の視点で描かれた連作短編集。幕末、明治維新という激動の時代に翻弄され続けた兄弟。彼らを見守る女性達もまた激動の時代を生き抜いたのだった。慶勝と茂栄の妻となった姉妹の姫を描いた「二本松の姫君」がよかった。知られざる歴史の側面をさまざまな形で知ることができて、とても興味深く読んだ。2022/12/13
baba
44
前作「葵の残葉」は幕末に尾張、会津、桑名、一橋の当主になった高須四兄弟の話でしたが、今作は当主それぞれの妻の立場から見た四家の話。維新後の置かれた立場で生き方が変わるが、夫を思い支え、自らの矜持を示す。2023/03/12
sofia
42
『葵の残葉』を一昨年読んでからの『葵のしずく』はとてもよかった。高須四兄弟を支えた女たちの話。幕末の四兄弟の話もよいが、あの過酷な生き方を支えた女性もまた歴史に翻弄される。家系図にはただ線が引かれるだけだが、その歴史は重い。2023/01/13
ゆずぽん
32
高須松平家の四兄弟らと縁のある女性たちの生き方を描く短編。維新・幕末と激動の時代に生きた女性たち、自分の意志とは関係なく振り回されたのは彼女たちだけではなかったはず。なかなか語られない側面を垣間見た感じ。序章の金鯱夫婦の話がとても印象的でした。2023/01/11
rosetta
31
★★★✭☆日本史は通り一遍の知識しかないから新しい事を知るのが楽しい。尾張徳川家の連枝である美濃高須松平家。幕末のこの家は錚々たる人物を輩出した。本家尾張を継いだ慶勝、高須から尾張を経て一橋を継いだ茂栄、会津松平を継いで京都守護職になった容保、桑名松平を継いで京都所司代になった定敬。それに米沢上杉家に嫁いだ幸姫。これらは母こそ違え皆松平義建の子女なのだ。幕末から明治にかけて時代に翻弄される徳川に連なる者達を丁寧に描いた連作短編集。教科書だけでは知りえない歴史の表面の一枚裏側。大名の世継ぎの面倒くささよ2022/11/20