内容説明
【本書は2019年10月に刊行した単行本に、加筆修正して文庫化したものです】人生の最後に食べたいおやつは何ですか――若くして余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピスで残りの日々を過ごすことを決め、本当にしたかったことを考える。ホスピスでは、毎週日曜日、入居者がリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫はなかなか選べずにいた。食べて、生きて、この世から旅立つ。すべての人にいつか訪れることをあたたかく描き出す、今が愛おしくなる物語。2020年本屋大賞第2位。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
五右衛門
193
読了。この作家さんらしいですね。いつもほんわか雰囲気ながら引き込まれてしまいました。物語の傍にはいつもおいしそうなおやつなどがあります。どれも一度は食べてみたいです。主人公が終の棲家でのスタート。終盤はもう逢わないと決めていた父親との再会。更に妹との出会い。こんな風に最愛の人たちに見守られながら逝きたいです。三日目約束も守られたみたいで良かった。レモン島のワイン飲んでみたい。2022/12/27
鍵ちゃん
140
人生の最後の食べたいおやつは何ですか。若くして余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピスで残りの日々を過ごすことを考える。ホスピスでは、毎週日曜日、入居者がリクエストできる「おやつの時間亅があるのだが、雫はなかなか選べずにいた。食べて、生きて、この世から旅立つ。すべての人にいつか訪れることを暖かく描き出す。予想道理の展開だが、作家さん特有の人の暖かさが加わり涙ちょうだい物でした。いつもながらも心が洗われた気がします。2023/07/22
みこ
140
癌により若くして余命宣告された雫が自分の最後の場所に瀬戸内海のホスピスを選び、そこで様々な人と最後の交流を交わす。新たな出会いがあったり、先住者が次々と亡くなったりと多くの出来事があったが、実は雫が入居してからの時間がわずかしか経過していなかったことがラスト近くでさらりと記される。人生の最後にあまりに濃密な時間を過ごしたと感じた。それにしてもっ現実と幻覚が錯綜する様子や自らの死を受け入れる心境など、小川糸氏は一度死んだことがあるのではないかとあり得ないことを考えてしまうほど真に迫った描写であった。2022/11/08
Nobu A
137
小川糸著書4冊目。読書会課題本。代表作3冊も既読。全てに言えるのはタイトルが粋で料理やお菓子を巧みに描写するのが得意分野。他方、掴み所がない措辞は物語展開よりも延々と続く心理描写にある。余命を告げられた主人公、海野雫が療養施設で過ごす日々。「カヌレの思い出」や「バナナの命」等、あまり具体性のないものをあれこれ。夢の中で早世した母や六花の元飼い主が出てきたりと現実と幻想の境界線も曖昧。研究の賜物や物語構成と展開を練りに練ったと言う痕跡なし。読了後残ったのはフワフワした小川ワールド感のみ。正直好みじゃない。2024/07/13
bookkeeper
132
★★★★★ 初読。三十代前半にして癌を患い余命宣告を受けた雫が瀬戸内のホスピスに入所する。生活の質を保ちながら自らの生死や人間関係と向き合い、折り合いをつけるための最後の数ヶ月が始まる…。 なんでライオンなの?とかおやつなの?とか手に取る前は疑問だらけだったけど、お話しが始まるとたちまち引き込まれる。「人生の幕の引き方」が次第にリアルに感じられる様になってきた分、身につまされます。もっとああすれば良かったとか人生後悔ばかりだけど、最期は穏やかに笑って旅立ちたい。ホスピスについて勉強したくなりました。2023/02/05
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