内容説明
危機意識が乏しい日本人こそ知るべき日本の「戦争力」
ロシアによるウクライナ侵攻により、軍事に無関心だといわれる日本人も、これまでになく国防意識が高まっている。中国が日本を侵略することはあるのか。北朝鮮からミサイルは飛んでくるのか。有事の際に問われるのは日本の「戦争力」である。単純な軍隊による戦力だけではない、地政学的な位置づけから防衛に関する政治力まで、国を守るべき「戦争力」をあらためて問う。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チャー
17
本書は昨今の世界で生じている緊張関係などについて、実際のデータや各国の発表、報道される動きを詳細に分析し解析している。具体的な数値を用いて各国の能力が分析されており興味深い。未だに続いている紛争や、近隣諸国との緊張や同盟国との今度等について、事実を正確に追跡し経緯や理由を組み合わせて考察されており、これまで気づかなかった部分を知ることができた。メディアでは印象的に伝えられるニュースも、実際のデータや状況を冷静に分析し実態を丁寧に見ることでそうではないこともしばしばあるという指摘はなるほどと感じた。2023/03/12
あんさん
14
必要なのは情緒的な言葉の応酬ではなく、「Facts and Figures(事実とデータ)をリアルにとらえ、冷静に分析・評価すること」それにしても、日本のサイバーセキュリティレベルは低いと、色々なところで指摘され心配。「大前提として必要なのは「いま私たちは平時の戦争を戦っている」という発想です。相手に手出しをためらわせるような抑止力を備えるのが“平時の戦争”の基本です」2023/09/07
kitten
9
図書館本。今年はロシアのウクライナ侵攻があり、今まで以上に戦争を意識した年だった。今年、最後の読書はこれ。軍事アナリストがウクライナ危機をどう読み解いているのか。日米同盟の信頼性、中国、ロシア、北朝鮮の脅威はどの程度か。日本に直接上陸してどうこうというのは有り得ない。ミサイル攻撃はできなくはない。一番危険なのはサイバー攻撃。軍事、安全保障でもイデオロギーや雰囲気で話すのではなく、科学的な議論が必要、とわかった。これ一冊だけで判断はできないが。2022/12/31
九曜紋
8
大きく分けて1.ウクライナ戦争2.台湾有事3.日米同盟について、軍事アナリスト・小川和久氏が詳説する。ロシアによるウクライナ侵攻により、次は中国による台湾侵攻だ、との認識が広まった。しかし、中国にとって台湾侵攻はそれほど簡単な問題ではないこと、そして日本国内でも一部に湧き上がった日本の核武装論が如何に非現実的であることであるか等、専門家による冷静かつリアルな視点から解説がなされる。危機の只中にある今こそ読まれるべき一冊。2022/10/07
mdoguti
4
現在の各国が保有する戦力、取り得る戦術から浮かび上がる日本のリアルな弱点を解説。読み慣れない組織名、兵器名に難渋しながら、何とか読了。著者の見解の妥当性について検討できる素養を持ち合わせてはいないが、「同盟国の敗戦」が想定から抜け落ちているのでは、と思わせる記述が随所に見られるのが気になった。本書で述べられる各有事において、最大の危機は『米国の敗戦』であると思うのだが。2024/05/04