内容説明
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世界最強の軍隊である米軍の「戦いの原則」が、約100年ぶりに改訂され、「9原則」から「12原則」に増えました。この改訂にともない新たに解説を加えたのが本書です。現代の戦場で、指揮官はどのように作戦を立案し、どうやって部隊を指揮・運用し、敵を撃破し、勝利を収めるのか? 勝利の「原理・原則」や「方程式」はあるのか? 本書では、陸上自衛隊で陸将補を務めた著者が、戦術を体系的に解説し、その本質に迫ります。兵法書として名高い『孫子』が、多くのビジネスマンに愛読されているように、実際の戦術を知ることは、ビジネスの世界での勝利にもつながることでしょう。
2017年に旧版を上梓してから5年という歳月が経過しました。この間に6刷まで版を重ね、多くの読者に読んでいただき、大変感謝しているところです。
旧版は戦術(タクティクス)に偏よって作戦術(オペレーショナル・アート)の分野が抜けていました。このままでは、21世紀の趨勢、軍事科学技術の急速な進歩と発展、安全保障環境の激変、軍事思想の革新などに対応できない、との忸怩たる思いがあります。
このような反省の上に立ち、『戦術の本質』全般を再点検し、欠落している事項を増補し、修正・訂正すべき事項の改訂を試みた次第です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つわぶき
5
同題名の2017年の新書(既読)から作戦術やウクライナ戦争(旧版の見直し開始時に戦争が起きたらしい。)、台湾有事の架空シナリオを追加したアップデート版。戦いの原則が旧来9つであったのが、米軍の統合教範では抑制、忍耐及び合法性の3つが追加されたことは、軍隊の役割の拡大や政治との関係性に係る認識の深化が垣間見える(そもそも軍事目標と政治目標をリンクさせる段階が作戦段階である。)。但し、新領域やMDOの記述はないので、そこは他書で補うべきだろう。とは言え、戦術的な話はしっかり押さえられる、良書である。2023/06/20
乱読家 護る会支持!
3
「戦いの原則」「作戦術」「戦闘力とは」「戦術の定理」「指揮官の役割」「戦史から戦術を分析」「ウクライナ戦争の分析」等、元陸上自衛隊の著者が解説。 僕としては、現在の自衛隊の「ポジティブリスト」の問題(他国の軍団は「やってはいけないこと」を規定しているか、日本の自衛隊は「やっていいこと」を規定しているため、実際の戦闘は出来ない)や、軍法会議がない事などの課題、 さらには、サイバー戦や宇宙戦、無人機を使った戦争など、最先端の技術を使ったこれからの戦争について書いてほしかったですね。2023/05/12
Ohe Hiroyuki
3
本書は、軍事学の入門書というべき本である。▼国際情勢や各国の最新の戦いの原則の状況を踏まえながらも、見開きで1トピックという構成で書かれており、カラー・図録入りであるため、誰にでも読みやすい体裁になっている▼もちろん、これを読んで軍事学が分かるわけではないが、軍事用語に親しむには良い本であるといえよう。▼後半には、戦史の紹介もされている。あくまで現代の戦術の話であるのか、紹介されている戦史は近現代が多い。▼ウクライナ紛争についても戦略、戦術の観点からコメントがあるのは大変参考になる。手元に置いてよい一冊。2023/02/20
でんきひつじ
1
現代軍事学における戦術・作戦術の基礎理論を略述している。ほとんどの一項目が見開き二ページに纏まっているうえに図表や写真、具体的な軍隊の動きの略図など視覚的な解説も入っていて理解を助けてくれる。あくまで原理原則の簡明な説明にとどまっているから詳しい知識がなくても一応理解できる。付録として2022年のウクライナ戦争についての分析があるのが嬉しい。戦争にはある種の普遍性があるけれど特に4章は古代史の戦争理解にも役立ちそう。やや思想を感じる部分もあるけれど、初学者でも手を出しやすい良い本だと思う。2024/07/08
たろーたん
0
まず「戦いの原則」として目標が重要になる。目標こそが軍事行動の原動力だ。期待される結果と、その効果を明確に理解しておかなくてはならない。つまり「軍事力で現状AをBにしたい。なぜならXを成し遂げたいからだ」が明確になっていないと、軍事行動もぐだぐだになってしまうからだ。戦争のレベルには3つあり「戦略」「作戦」「戦術」がそれに当たる。「戦略」は国家目標であり「何をしたいか」で上記に当たる。これに関しては、情報や経済などで成し遂げてもよく別に軍事力を使わなくてはならない訳ではない。(続)2024/12/13