内容説明
「君主」の父、「民主」の子。二人の象徴天皇。それぞれの「戦争と平和」に秘められた昭和史の真実。そこには、天皇家の〈父と子〉のみに伝えられる口承があった。講談社創業100周年記念出版。
「今までは、勝ち抜くための勉強、運動をして来ましたが、今度からは皇后陛下の御歌のやうに、つぎの世を背負つて新日本建設に進まなければなりません。それも皆私の双肩にかゝつてゐるのです。」――<昭和20年8月15日 明仁皇太子が書いた作文より>
「今度のやうな決心をしなければならない事情を早く話せばよかつたけれど 先生とあまりにちがつたことをいふことになるので ひかえて居つたことを ゆるしてくれ 敗因について一言いはしてくれ 我が国人があまりに皇国を信じ過ぎて 英米をあなどつたことである 我が軍人は 精神に重きをおきすぎて 科学を忘れたことである」――<昭和20年9月9日 明仁皇太子への昭和天皇の手紙より>
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
石橋
3
「君主の父、民主の息子」という帯フレーズが印象的。「天皇」のあり方の変化がよくわかった。2009/07/06
michu
2
資料の読み解きが主観的に過ぎることは否めない。しかし懸念したほど押しが強くはなっておらず、適度に気軽に興味深いエピソードに触れることができる。昭和という濃密な時代を理解するためには昭和天皇と今上天皇の関係は重要な要素。面白かった。しかし、美智子皇后はキレイだなぁ。彼女を見ていると髪を染めるなんてナンセンスだなとか思う。ウェルエイジングの手本。2013/12/08
海
2
今上天皇も皇太子時代の40~50代の頃は週刊誌で跡取りとして大丈夫なのか?といろいろ取りざたされた記事があったと言うのは現代と同じような現象があったんだな、と思った。天皇と皇太子と言う関係は本当に難しいと言うことがよくわかる本。2012/02/28
kuma_kuma
0
2009年に発行された本です。その後現在までの皇室の歩みを見ることで、著者の見立てた天皇像というものが的を射ていたのか答え合わせをすることができます。 それとはまた別に、戦後の天皇制とはどのようなものであるかを考えるのに良い一冊だと思います。2019/10/05
10538jeff
0
「私の友人のイギリス人が『これまでイギリスでは天皇といえば十人中八、九人はそれはヒロヒトだと答えただろう。しかしこれからは(日本の天皇とは)アキヒトという優しい人だったねと答えるようになるのでは』と言っていました。」(p.314)2019/08/05