内容説明
哲学ではなく史学こそ中国における「諸学の学」である――司馬遷の歴史観ないし中国人一般の歴史意識、道教と仏教、中世史に関する諸論考を集めた遺稿集。解説=礪波護
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
17
山川の世界史リブレットで表題の論に興味持ち読む。司馬遷は端に中国史家の祖ではなく、ヨーロッパ諸学でのアリストテレスにも比すべき「哲学者」。中国では哲学ではなく史学が「諸学の学」など、まだスケッチのような段階かもしれないが、刺激的な言葉が並び力強い。西洋史学者のアジアに対する蔑視への反発も垣間見れるところも面白い。まぁ、ただ哲学の知識がない身からすると、著者の論旨がちゃんと理解できているのか怪しいのですがね…。後半の時代区分に関する論争の激しさを知れるセクションも、史学史の一断面として興味深い。2023/02/09
caramelscratch
1
中国人の用語を使えば「直筆する」ことは、「史官」の、記録者の、歴史家の、至上の任務であるという明確な判断が、中国人には一貫して流れていた。それは、権力に抵抗し、いのちを賭しても、断固として守るべき至上の価値であり、記録者、著述者たる知識人の責務と観念されていた。(p38)2013/06/30
朝霧 紅玉
1
同著者は『六朝貴族制社会の研究』でも有名だが、本書は文化的な記述の方が目立つ。最後にはご自身の研究批判に対する反論が乗っており、当時熱かった論争の一端を垣間見ることが出来る。
宵待堂主人
0
数年前に一度読んで深い感銘。再読せねば。近代歴史学の父と呼ばれるランケが絶対者である神の名の下で歴史を紐解いたのに対し、中国では古代より絶対的存在がない中で、ともすれば人間の恣意性から生まれるニヒリズムやら絶望やらに陥る恐れがありながら、歴史家たちはそれでも人間があるべき姿、社会のあるべき姿を考察し記録し続けた。「人文主義」とはむしろこういうことじゃないかと考えさせられる。とにかく再読せねば。2017/02/12
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