内容説明
〔化学と過ごした私の少年時代〕のちの脳神経科医、サックス先生は年少時、化学に夢中だった。物質の化学的な振舞いの面白さを説き語ってやまないおじ、「タングステンおじさん」がいたから……科学への憧れを育んだ楽園の日々を綴りながら、化学史を一風変わった切り口から紹介ずる自伝的エッセイ、待望の文庫化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
198
タングステンおじさんを筆頭に、おじいさん一族が化学に明るくて、本人も興味津々で、両親も理解があると言う恵まれた環境。実験室を与えて貰って、化学実験の追試をしては、化学反応という営みから先人化学者達と心を通わせ。鉱物や元素と特別な絆を見出したり。ヘリウムの気球に触れてはエクスタシーを感じ。単離したアルカリ金属、アルカリ土類金属を池に投げ込んでは(おいっ)デービーに想いを馳せるなど。周期表の深遠な美しさに恍惚となったりね。なんと言う変態少年の物語。儂はね、こう言う本が読みたかったのですよ。(◍˃̶ᗜ˂̶◍)。2021/09/14
やいっち
70
「サックス先生が暖かな家族に囲まれて科学への憧れを育んだ楽園の日々が、ノスタルジー豊かに綴られる。同時に化学の発展史が一風変わった切り口から紹介される、出色の自伝的エッセイ」サックスファンの我輩、サックス先生の本はほとんど一度は読んだ。中でも本書は出色の自伝。最初は図書館本で読んで感激。のちに単行本を入手し、2度は読んだ。座右の書。
こなな
58
私には、書庫や図書館の代わりになるおじやおばやいとこが大勢いたという脳神経科医の少年時代を記したもの。鉱物学や化学や物理学の世界に没頭し、生物に関しては母(両親とも医師)から人間の解剖までさせられていた。衝撃的な章だった。内緒でバスタブでタコを飼っていたりキプリングのジャングル・ブックのモーグリのことを友達に自分の事のように話した少年だった。お気に入りの氷晶石、水面下に沈んだ途端みえなくなるのは不思議な現象である。日常の目に見える色や形の世界の裏に、謎めいた法則や現象に支配された隠れた世界が存在するのだ。2025/03/09
Willie the Wildcat
52
興味を育む座学と”実験”環境。疑問を持ち、問うことが許されることが、脳を解き放つ!塩とガスの炎によるキッチンでの母親の”即興”実験は、特に印象的。金属、光、熱・・・そして数字。科学の歴史に垣間見る著者の半生といっても過言でもない。加えて、素数好きの著者に共感。但し、「バスの乗車券」収集と周期表を空想・・・、流石にマニアックすぎる。(笑)興味深いのが、医学への転換。天才の思考と凡才の私の思考は異なって当然も、心の通う家族の温かみが常に伝わってくる。恐らくこれがキモなんだろうなぁ。2016/12/01
こばまり
46
錚々たる専門職集団である家族親族の下、神童オリバー少年が知的好奇心を満たしていく様子がなんともキラキラと眩しく、化学はてんで駄目な私も興味深く読んだ。そして思春期の訪れと共に情熱が醒める様も。氏の著作は脚注が多いが、メンデレーエフの影響だったとは。 2023/01/29
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