内容説明
人口が急減する日本。なぜ出生率も幸福度も低いのか。日本、アメリカ、スウェーデンの子育て世代へのインタビュー調査と、国際比較データをあわせて分析することで、「規範」に縛られる日本の若い男女の姿が見えてきた。日本人は家族を大切にしているのか、男性はなぜ育児休業をとらないのか、職場にどんな問題があるのか、アメリカやスウェーデンに学べることは――。アメリカを代表する日本専門家による書き下ろし。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ルピナスさん
73
「日本は、人間ファーストではなく労働ファーストです」という事を新卒入社の会社でいち早く察し外資系企業に転職した夫。育児休暇を取得し「本当に取得する人がいるとは思わなかった」と嫌味を言われたのが十数年前。仕事の生産性を重視し家族志向の強い環境で、外から日本を見られた事は私にとって貴重な経験だった。夫婦は共に過ごす長い人生を見据え役割を固定化しない方が良い。他の男性達の行動を規範として気持ちはあっても動けない縛り。日本の育休には夫が取得しないと権利が消滅する父親クオータ位、ドラスティックな制度的後押しが必要だ2023/04/23
Sam
56
米国人の日本研究家である著者が、日本の出生率が低いのはなぜなのか、向上させるにはどうするべきかというテーマについて丹念な取材や他国との比較分析を通じて具体的な政策提言を行なっているもの。的を得た指摘がされていて頭の整理にとても役立った。広く読まれるべき良書と思う。敢えていえば、本書の分析は既婚のカップルに対するものであるが、そもそも異性との交際に背を向けている最近の日本の若者たちも分析対象として目を向ける必要があるのではないかとは思う。2023/05/27
みねたか@
34
アメリカ、日本、スウェーデン。社会政策の比較、インタビュー等で日本の低出生率や未婚率上昇を分析。「男は仕事、女は家庭」という単純な男女の役割分担の固定観念は、いつからか、より良い生活のために男性が過酷な仕事に耐えることを是とする「男性過重労働の暗黙の容認」へと転換された。日本の仕事と家庭の両立支援制度が明示的又は暗示的に「女性のための制度」とされるのがその証左。グサグサと突き刺さる歯切れの良い論考。しかし、コロナ禍を経てそんな観念に縛られない若者が増えてきたように感じるのは少し心強い。2023/10/24
おかむら
32
アメリカ在住の日本研究者による少子化対策の現状分析と提言。これ面白いです。日本の当たり前は海外から見るとこんな窮屈。男性の育休、制度は世界的にも1番整ってるのに誰も利用しない(出来ない)のはなぜかよおくわかります。たまに新聞の家庭欄とかに男性育休記が載ってますが例えば1ヶ月とったことが相当エライみたいなレアケースみたいな感じで、なんつーかスウェーデンの夫婦交互に1年づつとるの普通ですがなにか?みたいな事例とのあまりの違いに悲しくなるよ。制度や支援がほぼないのに日本より出生率高いアメリカの事例も興味深い。 2022/11/03
さきん
29
男性が育休を取りにくい背景に男女の社会的役割を暗に求めるノルムが未だに横たわっているところを挙げていたが、さらに下手に休むと出世が遅れて生涯賃金に影響でたり、元々下がっている賃金の上に女性の雇用上の不安定さがあるように感じる。また、男性の子育てに対するノウハウが教育不足で足りない。核家族化でじいちゃんばあちゃん頼れない、ベビーシッター雇う文化がないのもあると思った。2023/01/21
-
- 電子書籍
- トラブル・トラベル まんがフリーク
-
- DVD
- 栄光のル・マン