ちくま学芸文庫<br> 日本商人の源流 ──中世の商人たち

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ちくま学芸文庫
日本商人の源流 ──中世の商人たち

  • 著者名:佐々木銀弥【著者】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 筑摩書房(2022/10発売)
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  • ISBN:9784480511225

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内容説明

大阪や東京日本橋界隈の問屋、観光地の朝市、縁日、門前町の商家など、その源流をさかのぼると、多くは中世社会にまでたどり着く。そして彼らの営業形態や商売人としての思想には、中世から引き継がれたものも少なくない。いわば現代経済社会の基礎は中世の商業社会にあるといえよう。本書は長く商業史を牽引してきた著者が、中世の個々の商人像にスポットライトをあてつつ、経済全体の流れについても描いてみせた商業史入門の傑作。朝廷に仕えた供御人、大原女などの行商人、都市の定住商人、戦国の豪商等々、さまざまな商人のしたたかな営業活動が、活き活きと浮かび上がる。

目次

はじめに
概観
研究史の流れ
中世商人の諸身分
行商の諸類型
中世都市の商人
座の商人
戦国の豪商
海の商人たち
1 中世商人の諸身分
官衙所属の諸商人
中世商人の身分的外被
粟津橋本供御人
遍歴する灯炉供御人
禁裏駕輿丁の諸商人
社寺奉仕身分の商人たち
神威ふりかざす商人・神人
御師と山伏
遍歴の高野聖
荘園制的諸身分の商人
名主的・農民的商人
播磨国矢野荘の名主的商人
荘官的商人
山科七郷商人
2 行商・遍歴の商人たち
伝説のなかの旅商人
行商の二つの姿態
商人首領八郎真人と水銀隊商
金売吉次伝説とその背景
地域社会の行商人
都市近郊行商人─大原女と桂女
定期市の行商人
職人歌合の行商人
中世日本のキャラバン
都鄙を往来する行商人
荘園を遍歴する商人たち
戦国時代の遠隔地行商人
『多聞院日記』の行商人たち
旅商人たちの掟
自衛と相互扶助
山賊・海賊・関所とライバル商人
山越四本商人の掟書
3 都市の商人
都市の商人と町人
商人と町人
見世棚から店舗の商人へ
都市の座商人
土倉と酒屋
京都の土倉
六星紋の柳酒
土一揆の嵐の中で
京の長者たち
長者の出現とその歴史的背景
茶屋と後藤
角倉の多角経営
4 座商人
座の起源と特権
座とギルド
座の起源と性格をめぐる論争
商人座の特権
都市の座
祇園社の綿本座と新座
京の米場座と塩座
奈良の符坂油座
村落の座
大和国乙木荘の簾座
摂津国深江村の菅笠座
近江国保内座商人
大山崎油神人
大山崎油神人の負担と特権
営業圏の拡大と地方油商人との対立
大山崎油神人の構成
5 戦国の豪商たち
東国の豪商
会津の簗田氏
小田原の薬種商外郎氏
佐竹領国の御用商人
甲駿越の豪商
越後府中の蔵田氏と甲斐古府八日市の坂田氏
駿府今宿の友野・松木氏
信長と御用商人
尾濃両国商人司伊藤氏
越前北庄の橘屋
堺の今井宗久
6 海の商人
中世の水運と商業
浦舟と津軽船
越前敦賀の舟道座
廻船式目の成立
堺の豪商たち
自治と文化
備中屋と湯川宣阿
天王寺屋とその一族
小西隆佐と行長
博多の豪商
僧形の商人宗金
神屋寿貞・宗湛
島井宗室
参考文献
関連年表
解説 商業の時代としての中世(中島圭一)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

bapaksejahtera

10
40数年前の本。歴史学がマルクス主義史観に覆われた時代、商業に関し京都町衆や国一揆による封建権力への抵抗が強調されたが、本書は寺社神人や宮廷供御人による座の形成から始まる商業の萌芽をバランス感覚を以て描く。信長を始めとする戦国時代を乗り切った武家政権による楽市楽座についても、近世的秩序確立への先進性とするような記述はない。京都町衆や堺の商人の文化継承への寄与の評価も十分だ。但し戦国武力の兵站を担い身分的に武士と不可分だった商人が、江戸期に至り形式としては劣位に置かれた理由についてもう少し説明が欲しかった。2023/08/17

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