内容説明
数学は音楽に似ている。論理と感性、理性と直観等、対立するもののように思われがちだが、音楽も数学も古来、天上へつづくかのような調和の美しさで人を魅了してきた。ところが数学者たちはやがて気づく。数の世界に潜む見えない数、無限、そして緻密な論理が孕むパラドクスの深淵。しかしそこに、数学が自由に飛翔するための契機があった──。古代文明から現代まで四千年にわたる数学の歴史をたどり、人間にとって正しさとは何かを問いなおす。
目次
第1章 背理法の音楽
音楽と数学
「流れ」
「流れ」の自己相似性
論理的推論
三段論法──最小の入れ子構造
論理と流れ
音楽的な数学
背理法
背理法による証明の例
仮定の〈後出し〉
虚構の推論
間接証明
背理法の音楽
人間と数学
第2章 見よ!
ソクラテスと僕童
無邪気な信念
「見る」ということ
普遍的〈正しさ〉と証明
証明の決済としての「見る」
「無邪気な信念」の是非
「代数語を話す」という前提
正しさの認識における三要素
第3章 数を観る
円周率
素朴な計算法
その歴史
日本人の寄与
建部賢弘の計算
数を「観る」
「注目すべき事実」
証明のない〈正しさ〉
第4章 儀式としての証明
「証明する」ということ
『ユークリッド原論』
議論の形式化
「見る」の排除
厳密性の基準
明証性のコペルニクス的転回
ピタゴラスと神秘主義
ピタゴラスとピタゴラス学派
オルフェウス教の影響
見ることへの忌諱
ギリシャ的明証性の根底にあるもの
第5章 見えない正しさ
線分と数
形相か質料か
数と量
弦の長さの比
対角線の長さ
無理数
ピタゴラスの定理
通約不可能性
背理法による証明
見えない数への恐怖
計算と論証
複合的要因
第6章 無限に対する恐怖
数学の時代性・地域性
「1」は〈数〉か?
エレアのパルメニデス
「真理の道」と「臆見の道」
背理法の起源
様式化された正しさ
「運動」の否定
矢の逆理
競技場の逆理
二つの逆理が示すこと
〈無限〉に対する恐怖
第7章 無限の回避
円の面積
アルキメデス『円の計測』
アルキメデスの公理
正多角形による近似
アルキメデスによる証明
証明の構造
取り尽くし法
「アキレスと亀」の逆理
計算と論理
第8章 伝統のブレンド
現代数学への道
古代文明の数学
古代中国数学
古代インド数学
「0」の発見
中世の中国とインド
アラビア数学
数学の算術化
第9章 無限小算術
十二世紀ルネサンス
幾何学と代数学
近代西洋数学の成立
微分積分学の勃興
無限小算術の「基盤」
ゼノンの再来
論理的不整合
第10章 西洋科学的精神
西洋数学の十九世紀革命
極限概念
問題の回避
数学の解放
自然科学と数学
対象を〈作る〉
理性と信仰
「奇跡は起こっているのだ!」
エピローグ
参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やまやま
kenitirokikuti
エヌ氏の部屋でノックの音が・・・
fuku66
こたろう
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