内容説明
惜しくも早世した若き精神科医、安克昌と樽味伸。著者は二人の面影を追い続ける。震災以降、外傷性精神障害の治療にのめり込んだ安の「魂のふるえ」。素朴で平易な言葉を慈しむように使った樽味の深い優しさ。さらに中井久夫、神田橋條治、宮沢賢治にまで射程を広げ、臨床家の生と死、臨床の言葉についての思慮深い考察が、柔らかい感性によって綴られる。野心的仕掛けによって芳醇な臨床世界を開示することに成功した好著。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
日曜読書人
6
満天の夜空に、さまざまな星がきらめく。星に願いを。2018/05/03
Ken Aura
2
問題はおそらく病者より治療者の不安というか治療者の中に誘導されてくる奇妙な焦慮感に存する場合が多いだろう。病者の方が耐えられずに治療者のそばから立ち去る場合はほとんどないのが経験的事実である。(中井)一つは、精神療法に夢中になって他のことが眼にはいらなくなるタイプ。豊かな情感があるが、情に流されやすい。一つは、非常にクールで冷徹なタイプ。精神療法が求める中立性を厳格に守ろうとする。他のことは眼に入っているが意識的に無視して、精神療法第一主義を貫こうとして教条主義に陥りやすい。もちろん第三のタイプも少数なが2011/03/02
Asakura Arata
1
他でもない筆者が、これを書かなければければならなかったのかが分からなかった。2010/08/05