集英社単行本<br> ソ連兵へ差し出された娘たち

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集英社単行本
ソ連兵へ差し出された娘たち

  • 著者名:平井美帆【著】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 集英社(2022/09発売)
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  • ISBN:9784087890150

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内容説明

【2022年 Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞 ノミネート】

文芸評論家・斎藤美奈子氏激賞!
第19回開高健ノンフィクション賞受賞作

1945年夏――。日本の敗戦は満州開拓団にとって、地獄の日々の始まりだった。
崩壊した「満州国」に取り残された黒川開拓団(岐阜県送出)は、日本への引揚船が出るまで入植地の陶頼昭に留まることを決断し、集団難民生活に入った。
しかし、暴徒化した現地民による襲撃は日ごとに激しさを増していく。
団幹部らは駅に進駐していたソ連軍司令部に助けを求めたが、今度は下っ端のソ連兵が入れ替わるようにやってきては“女漁り”や略奪を繰り返すようになる。
頭を悩ました団長たちが取った手段とは……。

《開高賞選考委員、全会一致の大絶賛!》
作品は、共同体の「自己防衛」のために女性たちを「人柱」に捧げる「隠された暴力」の柔らかなシステムを浮かび上がらせている点で、極めて現代的な意義を有していると言える。
――姜尚中氏(東京大学名誉教授)

本書は、変わることのできなかった日本人の問題として悲しいことに全く色褪せていないのである。
――田中優子氏(法政大学名誉教授)

犠牲者の女性たちが著者の想いと心の聴力に気づいて、真実の言葉を発してくれたのだ。
――藤沢周氏(芥川賞作家)

この凄惨な史実をほぼすべて実名で記した平井の覚悟と勇気は本物だ。
隠された史実の掘り起こしだけではない。ジェンダー後進国であるこの国への果敢な挑発であり問題提起でもある。
――森達也氏(映画監督・作家)

ディテールの迫力が凄まじい。当時の触感や恐怖がそのまま立ち上がってくるような、生々しい感覚を見事に描き出した文章に圧倒された。
――茂木健一郎氏(脳科学者)

《推薦》
今日の「性暴力」にまっすぐつながる過去の「性接待」。その事実に、あなたは打ちのめされ、そしてきっと覚醒する。
――斎藤美奈子氏(文芸評論家)

【著者略歴】
平井美帆(ひらい みほ)
1971年大阪府吹田市生まれ。ノンフィクション作家。
1989年に高校卒業と同時に渡米し、南カリフォルニア大学に入学。同大学で舞台芸術と国際関係学を学び、1993年卒業。
その後、一時東京で演劇活動に携わるも1997年に再び渡米し、執筆活動を始める。2002年に東京に拠点を移す。
著書に『中国残留孤児 70年の孤独』(集英社インターナショナル・2015)、『獄に消えた狂気 滋賀・長浜「2園児」刺殺事件』(新潮社・2011)、『イレーナ・センドラー ホロコーストの子ども達の母』(汐文社・2008)など。

目次

序章 「乙女の碑」の詩
第一章 満州への移住
第二章 敗戦と集結
第三章 ソ連兵への「接待」
第四章 女たちの引揚げ
第五章 負の烙印
第六章 集団の人柱
終章 現代と女の声

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

モルク

136
満州で岐阜県黒川村民を忠心とした黒川開拓団。終戦直後取り残された彼らは地元の暴徒から逃れるため進駐してきたロシア軍に助けを求めるが、代償として18才以上の未婚の女性を性接待に差し出す。団の皆を守るという大義ではあるが団での親の立場により免除、軽減ありという差別を伴ったものだった。恋も知らず体を捧げた彼女たち。男たちは見て見ぬふり。帰国後も傷物扱いしかも接待の決定に関わった人が帰国後遺族会会長。接待などなかったかのように臭いものに蓋。読んでいて憤慨で胸が一杯になった→2023/05/14

遥かなる想い

126
敗戦直後の満州で 起こった悲劇の物語である。 団の皆を守るために ソ連兵の接待を 強いられた女性たち…実名・顔出しの写真・描写が心に痛い。 戦争は弱い人間たちに何を強いたのか… 歴史に埋もれた悲しい真実が 現代に 蘇る…犠牲者の女性たちの 心の言葉が 籠ったノンフィクションだった。2023/01/31

どんぐり

123
戦争に負けて祖国に棄てられた満州開拓団に、「接待」と称してソ連兵の人柱に立たされた女性たちがいる。そこでは接待室、医務室がつくられ、男の呼び出し係がいて、独身の若い娘が割り振られた。日本人の集団を守るために、自分たちの命を守るために、男が決めたことに女性は従い、苦渋の選択を強いられた。戦争を始めた男たちが、女性たちの「性」を物として扱うことにいかに無意識であったかということも明かす。当事者の歴史的証言を拾い上げたルポで、第19回開高健ノンフィクション賞受賞作品。2022/09/19

やいっち

106
読むのがつらい本だった。読み辛いのではなく、内容の重さのゆえである。「(前略)満州開拓団幹部らは駅に進駐していたソ連軍司令部に助けを求めたが、今度は下っ端のソ連兵が入れ替わるようにやってきては“女漁り”や略奪を繰り返すようになる。頭を悩ました団長たちが取った手段とは…」といった話だが、あとは察してもらいたい。2022/01/30

サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥

81
開高健ノンフィクション賞受賞作。知ることができて良かったと言う想いと、知らなければ良かったと言う想いが混在する衝撃的な内容。終戦後の満州、襲いかかる暴徒から開拓団を守る為と言う理由でソ連兵に「接待係」として「差し出された」若い娘たち。自分の子供達にも明かす事が出来なかった辛く悲しい過去。開拓団の為、生きて故郷に帰る為、必死の思いで耐え、日本に戻れば「引き上げ者」として白い目で見られると言う酷い仕打ち。男が始めた戦争で辛い思いをするのは女と子供。こうした思いをする人を二度と出してはならないと思う。★★★★2022/12/16

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