内容説明
正義のウラに潜む快感、善意の名を借りた他人へのマウンティング、差別、偏見、記憶……人間というのは、ものすごくやっかいな存在だが、希望がないわけではない。一人でも多くの人が「人間の本性=バカと無知の壁」に気づき、自らの言動に多少の注意を払うようになれば、もう少し生きやすい世の中になるのではないだろうか。科学的知見から、「きれいごと社会」の残酷すぎる真実を解き明かす最新作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
313
著者による「バカの定義」でした。バカはなぜバカなのかについては、弱者の兵法ならぬ『バカの兵法』として理解できるのではないかと思いました。一方で、「バカと一緒に物事を決めるくらいなら、サイコロ振って決めた方がまだましな結果になる(という研究結果)」には唖然茫然でしたが、確かにそうかもしれないとも思いました。2023/08/15
belalugosi6997改めベラ・ルゴシ
227
「○○が××なのには理由…」の著者。馬鹿にした言動には立腹する。今回も序盤は「何でこんなのが売れている?」何度も騙されている。但し、途中から「こ、これは」共感や目から鱗が起こる。≪第5部すべての記憶は「偽物」である。≫は驚愕である。幼少時の性的虐待体験の殆どは噓なのである。えっ?冤罪!?理由は本編を熟読されたし、しかも日本や欧州等では起こらず、米帝に突出して起きている。記憶は録画されず、HDに記録はできない。そのために上書きされ、再構成され、別物=偽物と化して猛威を奮いかねない。密室で証人なし、証言のみ2023/08/10
まちゃ
194
「きれいごと」だけでは生きられない。これは社会倫理に反して生きろということではなく、公に議論することが憚られるような、人間の本性に起因する現実(不都合な現実)から目を背けずに注意して生きろ、ぐらいに解釈しました。賛否は別にして、知っていた方が面倒事にうまく対処できるかもしれません。【章立て】Ⅰ正義は最大の娯楽である/Ⅱバカと無知/Ⅲやっかいな自尊心/Ⅳ「差別と偏見」の迷宮/Ⅴすべての記憶は「偽物」である2023/02/04
inami
191
◉読書 ★3.5 著者の本はこれまで7冊ほど読んでいるが、『言ってはいけない』『上級国民/下級国民』等での歯に衣着せない物言いは、ある意味「スカッと」するし、同時に「にやり」とも。本書は『週刊新潮』に連載されたもので、大項目に「正義は最大の娯楽」「やっかいな自尊心」「差別と偏見」等々あるが、本のタイトルから受ける印象ほど辛辣(笑)な内容ではない。ヒトは徹底的に社会化された動物で、その本性(脳の設計)を考えれば、書かれている内容は当たり前なのだという。エビデンスもきちんとしていて、うなずく部分が多かったです2022/12/28
rigmarole
189
印象度B+。キャッチ―な表題は好感が持てませんが、内容は至ってマトモでした。近年の心理学の諸研究を引き合いにして、人間の本性から来る偏見やバイアス、差別意識、トラウマやPTSDを『スマホ脳』と同様、進化論の見地から説明しています。仮説にすぎないものを断定的に述べている箇所、拡大適用、理屈の通っていないと思われる箇所も散見されましたが、著者の主張には概ね同意します。特にSNSの普及した昨今、私たちの陥りがちな心理的な罠にはまらないよう、健全で平和で理性的な判断力を持つために本書を一読することをお勧めします。2023/02/18
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