優しい地獄

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優しい地獄

  • 著者名:イリナ・グリゴレ【著】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 亜紀書房(2022/09発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784750517513

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内容説明

『雪国』を読んだ時「これだ」と思った。
私がしゃべりたい言葉はこれだ。
何か、何千年も探していたものを見つけた気がする。
自分の身体に合う言葉を。


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社会主義政権下のルーマニアに生まれたイリナ。
祖父母との村での暮らしは民話の世界そのもので、町では父母が労働者として暮らす。

川端康成『雪国』や中村勘三郎の歌舞伎などに魅せられ、留学生として来日。
いまは人類学者として、弘前に暮らす。

日々の暮らし、子どもの頃の出来事、映画の断片、詩、アート、人類学……。
時間や場所、記憶や夢を行ったり来たりしながらつづる自伝的なエッセイ。


《本書は、社会にうまく適応できない孤独な少女の記録であり、社会主義から資本主義へ移っていくルーマニアの家族三代にわたる現代史でもある》

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五歳の娘は寝る前にダンテ『神曲』の地獄の話を聞いてこう言った。
「でも、今は優しい地獄もある、好きなものを買えるし好きなものも食べられる」。
彼女が資本主義の皮肉を五歳という年齢で口にしたことにびっくりした。
――本文より

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【目次】
■生き物としての本 上
■生き物としての本 下
■人間の尊厳
■私の遺伝子の小さな物語 上
■私の遺伝子の小さな物語 下
■蛇苺
■家
■マザーツリー
■無関心ではない身体
■自転車に乗っていた女の子
■天道虫の赤ちゃんは天道を見ることができなかった 上
■天道虫の赤ちゃんは天道を見ることができなかった 下
■なんで日本に来たの?
■シーグラス
■ちあう、ちあう
■透明袋に入っていた金魚
■社会主義に奪われた暮らし
■トマトの汁が残した跡
■冬至
■リボンちゃんはじめて死んだ
■毎日の魚
■山菜の苦味
■優しい地獄 上
■優しい地獄 下
■パジャマでしかピカソは描けない
■紫式部

■あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

fwhd8325

74
ルーマニアと言えば女子体操の妖精コマネチですが、その国の独裁政治、そして崩壊はショッキングな出来事でした。アジアであればまだ、伝わりやすい面もありますが、東欧の国の出来事は表層的にしか伝わっていない。そ子に暮らしていた人たちのことは何も知りませんでした。著者はルーマニアから日本へ留学してきました。エッセイを読むと日本で暮らしていることとルーマニア人であることが融合されているように感じました。優しい地獄は彼女の娘さんが語ったフレーズで、今の時代を的確に捉えているように思いました。2022/09/09

seacalf

71
岸本佐知子さんが「焚き火のように効く本」と評していたが言い得て妙、ルーマニア生まれの著者が日本語で書いているのだが、まさに焚火のように文章が身体に沁み入ってくる凄い体験が出来る。自然と一体だった少女時代、社会主義の歪みをもろに受けた町での暮らし、青春時代の葛藤、痛ましい話だけでなく、印象深い祖父母達とのエピソードや、田中泯さんの舞踏団時代の話、住んでいる青森の話、どこかハッとさせる発見の連続である幼い娘さん達の行動記録など興味深い話も多々あり。「水牛通信」では本編と後の連載、作者の映像も見ることができる。2023/03/04

しげ

70
3.11の震災当時、岩手遠野~釜石~大槌で数ヶ月業務にあたっていた頃、獅子舞の研究で東京の大学から大槌町に訪れている方々にお会いした事を思い出しました。「色んなフィールドワークが有るとなぁ」と感じました。青い瞳の方は居なかったので著者は含まれて無く残念に感じます。幼くもルーマニアで社会主義の崩壊と革命、チェルノブイリ原発事故を経験し、平和な日本は彼女にどう映るのか?と思い手に取りました。「優しい地獄」とは著書の娘さんの言葉を借りるならば「自己責任の民主主義」と言う所でしょうか2023/02/12

藤月はな(灯れ松明の火)

69
これは本来なら埋もれるが、語られ、研究される事によって歴史の輪郭と細部が引き継がれていく「個」としての歴史だ。社会主義に覆われたルーマニアで生まれ、都市で両親と住むよりも田舎の祖父母と暮らす事が大好きだった作者。社会主義を「人間から宗教、アート、尊厳を奪ったら、その社会に何が残るのかと言う、一種の社会実験だったのではないか」という言葉とそのしわ寄せによる暴力を多くは騙らない事が、社会主義国で息を潜めて暮らしていた人々の重苦しさを象徴している。だが、彼女が待ち望んでいた資本主義も期待していたものではなかった2023/01/11

南雲吾朗

64
社会主義から資本主義社会への変換は人々に大きな変化をもたらす。どちらの社会が良いとか悪いとかではなく体制の変化は人々にとって過酷で困惑し生活基盤が揺らぐ。うまく適応していかないと馬鹿を見てしまう。社会主義で安定していた生活も、急に資本主義という競争社会に放り出されるとあまりの変化に戸惑ってしまう。同じ事柄にしても、ルーマニアの彼女と私とは感じ方、対応の仕方が違う。もちろん、共感するところもたくさんあるのだが。ひとつだけ確かなのは、この著者は自分の人生に誠実に向き合って生きているという事だと凄く感じられた。2022/11/09

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