角川書店単行本<br> 怪談

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角川書店単行本
怪談

  • ISBN:9784041126066

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内容説明

「聞いていただこう、ホーイチ・ジ・イヤーレスの物語を──」円城塔
作家・円城塔が、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの名著「KWAIDAN」を直訳!

ダン・ノ・ウラの戦いの物語を──最も悲哀の深いくだりであるから(「ミミ・ナシ・ホーイチの物語」)
オ・ジョチューは振り返り、そうして袖を下ろすと手で顔を撫でてみせ──(「ムジナ」)
スライド式のスクリーンを開け、そうして彼は見たのだったが、ランタンの光に照らし出された五人の寝姿には──首がなかった!(「ロクロ・クビ」)

日本という未知の国の物語を、英語読者に向けて語るハーンの流儀を再現すると、日本の言葉はただのアルファベットの連なりで得体のしれない音となり、読み手の前に呪文のように放り出され、全てが説明されるわけでもない。当然これは、英語読者にとって「読みやすい物語」ではなく「驚異の書」として受け止められたことだろう。(「訳者あとがき」)

1904年に英・米国で発表された「KWAIDAN」には、遥かかなたの異国「JAPAN」の物語が描かれた。
当時、本書を手にした読者は何を感じたのだろうか。
円城塔が白日の下に晒す、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの名著「KWAIDAN」の真の姿!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヒデキ

43
日本人が、知ってる「怪談」しか知らなかったが この本では、①日本に伝わるミステリアスな民話⇒②海外向けに書いた小泉八雲の話⇒③円城さんに翻訳された直訳?本 とのプロセスを経たモノですね。 この本に似てるタネ本が、昔、絶対あっただろうなと思ってしまいました。その翻訳、どなたがやったのかな?と考えてしまいました 面白かった2024/03/29

おーすが

17
ジキニンキ、JIKININKI、食人鬼…表記が変わればイメージが変わる。どこか遠い異国ニッポンを感じさせてくれる新訳。しかし、ホーイチ・ジ・イヤーレスとか言われるとプロレスラーみたいだ。強そう。好きなリキバカの話もだいぶイメージが違った。昆虫関連のエッセイは初読み。蟻の話はSFに近い。異邦人であるがゆえのメタ思考なのか。利他的行動が利己的行動に変異してゆく道程は戦前日本の時代的なものもあわせて考えるとぞっとしない。2022/11/02

ようへい

12
キャラは知っているけれど話はよく知らないランキングの上位を独占する歴々。圧倒的なエース級は何といっても耳なし芳一、雪女、ろくろ首、のっぺらぼうでしょう。へー、そんな話だったんだ、と、あっ、なんか聞いたことある、のちょうど中間あたりで何とも微妙な手応え。しかし、そんな事はどうでもよいのです。本書の読みどころは圧倒的な異国情緒感だ。日本の怪談なのに。今はもうないかつての日本が持っていた情緒感にただただ浸れます。当時の西洋人が感じたであろう日本の異国感を味わってほしいと思い、それを伝える訳者のセンスに脱帽です。2023/01/25

あられ

12
知っているつもりの「怪談」だったが、この翻訳は変わった感じ、直訳調で、外国人がハーンの著作を読む気持ちになるように訳されたとのこと。固有名詞はカタカナ、着物はローブ、日本酒はワイン。ジキニンキはJIKININKIで食人鬼。耳なし芳一はミミ・ナシ・ホーイチの物語で、ホーイチ・ジ・イヤーレスという意味が最後にわかるようになっているとか。ハーンが英語で著した本を読んでいる気分が味わえた。2022/11/17

ハルト

12
読了:◎ これまでとは一風変わった、ラフカディオ・ハーンの「怪談」。さすが円城塔というべきか、いままでの訳に見られなかった、カタカナ多用のどこかSFちっくさもある独特な訳だった。▼これを読むと、「怪談」は元々は、英語圏の人々へと向けて書かれたのだということに気づく。「怪談」は「Kwaidan」であり、名称はカタカナであり、「鬼」は「ゴブリン」であり、「酒」は「ワイン」である。日本(中国)文化と西洋文化の混ざりあいが多様性を生み出し、新しい「怪談」を作り出しているように思った。2022/11/04

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