内容説明
本書の副題名「卑劣なやつを叩きつぶせ」は、ご存知の方が多いと思うが、カラス事件を多くの人々に訴えたヴォルテールが、書簡の末尾につけたスローガンのようなものである。彼は若い頃から優れた詩人として認められたが、貴族が下僕を使って彼を棒打ちにしてから、貴族に寄生して生きる文学者の道をきっぱりと捨て、自主独立の生き方を選んだ。……最後の二十年以上は、ジュネーヴの郊外で「自分の庭を耕し」ながら、世の偏見と無知を批判し、虐げられた無実な人々のために戦った。そして最後は、パリに帰って大いに歓迎されて死ぬ。このようなヴォルテールの生涯と、そのときどきの彼の作品を見てくると、彼はその八十四年の生涯を精一杯、思う存分に生き抜いた人だといえるであろう。近代世界はこういう人たちによって創られたのである。だから彼らの生涯は波乱万丈で、伝記は読んで面白い。しかし本書では、細かい逸話にまで及べないのが残念である。
(本書「はじめに」より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クッシー
2
ヴォルテールはフランスの啓蒙思想家(詳しいことはネットで調べていただけたら)。彼は皮肉屋で金にがめつく、プライドが高い。同時代人のルソーに対して「あなたの本を読んでいると4本足で歩きたくなってくる」など辛辣な手紙を書く。多分嫌な奴なんだろう。だが彼は当時のキリスト教に於ける迷信を非難し、またその被害者を全力で弁護した。理性を重んじ、フランス革命への橋渡しとしての役割も果たした。その功績を見るとカッコイイ。結局彼の批判精神と知性が長所であり短所でもあったのだろう。人間の面白みが増すのはやはり二面性である。2022/01/21
さく
2
ルソーとヴォルテール、死の場面に於いてその対比が顕著に表れていると思った。「私は自分の存在が彼の存在に結びつけられていたと感じます」2014/06/10
ややや
1
ヴォルテールの生涯・事績・著作について簡潔にまとめた本。ヴォルテール思想の細部には立ち入らないのは残念だが、しかしヴォルテールの生涯に触れることで彼の思想のブルジョワ的性格の由来が理解できたので有益だった。また、ヴォルテールが自身の思想をよく実践していたこと(領地の善政、サロンの運営、反教会闘争…)はよく分かったし、著作全体の見通しが掴めたのはよかった。2024/08/05
メルセ・ひすい
1
18世紀のパリ・ミシェル 公証人の子。 ルソーとの対比。当時の英国の紹介から、政治の自由、宗教の自由、思想の自由、生活の改善、を科学的手法で。 日本でのキリスト教の全滅は国の宗教があったため容認しなかったとしている。 哲学書簡=アンシャン・レジームに投げつけられた最初の爆弾! 18世紀前半の仏の知的大事件。・・・特に宗教の自由(カトリック・プロテスタント) 英国ではロックの哲学もニュートンの科学も、クェーカー教徒もシェイクスピアも国民に知られていたのに仏では・・・ 2009/01/27
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