内容説明
部屋はただの空間ではなく、精神の表出、知性の産物でもある……われわれは部屋をつくり、部屋はわれわれをつくる。それがオスカーの信念だった。神経質で完璧主義の音楽家である友人オスカー宅で、二匹の猫を預かり留守番をすることになったぼく。スタイリッシュなフラットでの気ままな日々が待っているはずだったが、思いもかけない展開に……。そこここで見つかる友人の細かい注意書き。フローリングには万全の注意を払ってほしい、コースターなしで床に飲み物を置かないこと。猫をソファには絶対上がらせないこと。ピアノで遊ばないでほしい……等々。次第に追い詰められていくぼく。恐ろしくもおかしいカフカ的不条理世界。悪夢のような八日間の果てにオスカーから聞かされたのは? ベティ・トラスク賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yukision
62
完璧主義の友人オスカーの留守を頼まれた「ぼく」は,彼からの「フローリングには万全の注意を払ってほしい」との注文に答えようとするが,頑張れば頑張るほど裏目に出てしまい,のんびりくつろぐはずが悪夢のような事態に追い込まれていく。そこかしこにあるオスカーのメモや暴走していく主人公が面白いような怖いような。2023/03/04
キムチ27
57
建築関係の執筆をする筆者の小説デヴュー作。かなり知的レベル高い方で 会話や小ネタにも舌を巻く。何気な題名ながら パニクリまくるぼくの行動が左旋回に破滅へ進む流れ。個人的に 同じ感覚を抱いた最近の記憶もあって サスペンス的な恐怖感すら覚えた。ミニマリストのオスカーに依頼されたフラットと猫の管理。随処に貼付されている扱いメモ。秩序を極めるとカオスへ連なり、物体と同時に神経も破壊されて行く★わずか8日間の小宇宙・・着地の鮮やかさは、カフカの作品を思い出させる。丁寧に読んでこそ、じっくり味わえた逸品。2023/03/26
星落秋風五丈原
25
カフカ的というのでもっと悪いことを想像してました。遊ばれただけね。2022/11/23
ROOM 237
20
【辛口感想でごめんなさい】潔癖症かつ神経質気味で見下してくる友人、早い話がイヤな奴から家の留守番を頼まれるプロットは良い。良いんだけどダラダラとどうでもいい情報が書き連ねられて読書時間が勿体ない…これ短編でよろしおすな?短編なら輝き増す作品だと思うのです。読めるのを楽しみにしていたから悲しい、辛口でごめんなさい。2022/11/09
那由多
16
神経質で完璧主義な友人が留守の間、フラットと二匹の猫を預かった主人公がうっかりフローリングを汚してしまい、更には猫が…。5日目から主人公に肩入れできなくなった。2023/06/09