内容説明
日本古代国家成立の謎を解くうえで、大きなカギとなる天武天皇の正体を明らかにする!
「朝鮮半島からの新旧二つの渡来集団(加羅系と百済系)による日本古代国家の成立」(石渡信一郎説)を主軸にした、多くの著作を世に問う“林古代史”の最新刊。虚実入り混じる『日本書紀』の分身・化身・虚像・実像を、石渡説を援用しながら、当時の国際情勢をまじえて丁寧に整理し、大王蘇我馬子の娘法提郎媛を母にもつ天武天皇は古人大兄=(大海人皇子)と同一人物であることを明快に解き明かす新説。
目次
はじめに
第1章天武天皇が企画した『日本書紀』
1天皇持統と草壁皇子の後見人藤原不比等
2田村皇子即位のシナリオ
3優柔不断な大臣蝦夷
4国家を2分する権力
5境部摩理勢の正体
第2章唐の台頭と激変する朝鮮三国と倭国
1舒明天皇と皇后皇極の系譜
2薬師恵日の正体
3唐の使者高表仁、太子入鹿と争う
4舒明天皇の九重塔はなかった
第3章蘇我蝦夷は大王だった
1坂口安吾の夢
2百済系渡来集団の蘇我系と継体系
3大王蝦夷と金光明経最勝王経
4虚構の女性天皇皇極
第4章乙巳=645年のクーデター
1蘇我蝦夷は紫冠を入鹿に授ける
2入鹿と謎の皇子古人大兄
3藤原鎌足の構想と計略
4捏造された入鹿暗殺の場面
第5章孝徳天皇の即位と退位
1創作された古人大兄の謀反
2悲劇の蘇我倉山田麻呂
3孝徳政権の反百済政策
4伊吉博徳の物語
第6章百済の滅亡と白村江の戦い
1唐・新羅の百済侵略と義慈王
2左平福信、百済救援軍を要請する
3“百済の名は今日をもって絶えた”
4唐の高句麗侵略再開
第7章古人大兄=大海人=天武天皇
1検定日本史教科書
2異議を唱える在野の研究者
3異母兄弟の天智と天武
4ヲケとオケの物語
第8章壬申の乱
1天智天皇の近江遷都
2天智天皇の死
3大海人皇子の決起
4大海人皇子はなぜ壬申の乱に勝利したか
第9章天武天皇と持統天皇
1吉野の盟約
2悲劇の大津皇子と高市皇子
3持統と文武の後見人藤原不比等
4万世一系天皇の物語
おわりに