筑摩選書<br> 映画とは何か ──フランス映画思想史

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筑摩選書
映画とは何か ──フランス映画思想史

  • 著者名:三浦哲哉【著者】
  • 価格 ¥1,485(本体¥1,350)
  • 筑摩書房(2022/09発売)
  • ポイント 13pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480016072

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内容説明

映画は人間の認識に何をもたらしたのか。映画とともに誕生した思考とは何であるのか。こうした問題を、ほかのどの国にもまして考察しつづけ、思想的系譜として育んできたのがフランスにほかならない。本書では、ジャン・パンルヴェからジル・ドゥルーズまでを貫くその歴史を、“自動性”の概念を軸に再構成し、映画の力による世界への信と希望の可能性を考える。

目次

序──リアリズムから自動性の美学へ/風に揺れる葉叢/リアリズムから自動性の美学へ/本書の構成/第一章 パンルヴェ的世界/映画は世界の認識を変える/前衛の袋小路/ジャン・パンルヴェ/忘却の理由/パンルヴェ的世界/尺度と可視化/時間の伸縮/相対性のめまい/すべては踊る/擬人主義と人形/第二章 バザンのリアリズム再考/バザン主義/リアリズムへの批判/「写真映像の存在論」と「完全映画の神話」/バザンの映画論の由来/「想像的なもの」の自律/神話学としての俳優論/意識の外部にある記憶/魂の現実性/映画と人生/第三章 ブレッソンの映画神学/宗教性とイメージの時間/カトリック作家、ブレッソン/不可知論/パスカルとイメージの論理/「表徴」と「受肉」/フィリップ・ド・シャンペーニュ/ジャンセニスト的演出/『罪の天使たち』のエクスタシー/モデルのモデル/偶然と映画的創造/第四章 ドゥルーズ、映画の信と創造/人間と世界の絆/シネフィリーの終焉/クリスチャン・メッツと『想像的シニフィアン』/「没入」のメカニズム/「否認」再考/失われた理想という虚構/ドゥルーズの単純さ/ベルクソン的直観/『シネマ』の方法/映画は生きているのか/自動性と精神衝撃/新しい思考/生の萌芽/結びにかえて──自動性とメディウム/これまでの要約/映画の「ポストメディウム状況」/映画の固有性をめぐる二極化/古典回帰/中間映画/自動性の現在/あとがき/参考文献/映画作品名索引/人名索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆう

17
カトリシズムとフランス映画の構造に同一性があるというトピックが特に示唆に富んでいた。ものがあってイメージがあるのではなく、最終的に編集されたシーンから訴求的に価値体系化されるショットがあることについて、カトリシズムの「受肉」の概念を使って説明するあたり。予型って、イデア論を逆から構成したみたいな概念だと思う。終盤のドゥルーズとベルクソンの話も面白かったけど、やや追いつかず。ドゥルーズが映画を評価するにあたり、ベルクソンの生=持続の概念から切り離す部分が特に分からなかった。2024/07/21

またの名

7
古臭い映画の講義に飽きた学生がスマホでYoutubeを眺める時代に、動く映像自体の自動性を探求。スローや倍速で現実を切り取るパンルヴェの科学映画から、単なるリアリズム以上の神話と魂の現実性を論じたバザンやカトリック信仰とパスカル主義を基に偶然による創造を目指したブレッソンを経て、精神分析と記号論に影響されたメッツのシニカルな否認論に対して信じることの単純なベルクソン的直観を称揚したドゥルーズまでの映画論を通覧。手持ちのデバイスで動画を簡単に視聴して好きな時に停止・再開できる状況での映画と映画館の意義とは。2015/07/06

富士さん

4
正直すとんと理解できるものではありませんでしたが、フランスの映画理論が極めてフランス土着の文化に根差したもので、そのまま日本やアメリカに使ったらまずいのではということはよくわかりました。それに、著者の博論のテーマだという聞いたこともない論者がさも当たり前に含まれており、先行する通説を踏まえるという読者へのマナーが無視されているように思いました。個人的には、そういうことはパザン→メッツ→ドゥルーズぐらいの分かりやすい流れをまず押さえてからやって欲しかったです。そういう意味で、本書もまた著者土着のものでした。2020/11/14

エンピツ地獄

4
いかりや長介って感じのアガンベンの偶然性とは別の意味で、映像の自動性という外在的な力能によって思考を奪われることこそが賭け金となる逆説以前に、まずその自律したイメージに思考を奪われようと意志する「私」がいないと、ダッフンダって感じで仮定と一致しないと思うのだが。つまり世界や人生を変えてくれずとも普段から映画を観るのがわりと好きな人には、バザン、ブレッソン、ドゥルーズと豪華ラインナップでネタも充実なのでお薦めしちゃいます。観ない奴にまで観させようとするから変になるだけのこと。そんな自動性はシカトだよお前。2015/07/17

○○○ ○○

3
この「映画とは何か」というタイトルはアンドレバザンからの引用であって、本当に映画とは何か全く分かってない人間が読んだらえらい目に遭う。要するにデジタル時代における映画のあり方はどうなるのかリアリズムは未だ成立するのかという問題を、バザンとかブレッソンとかドゥルーズとかジャン・パンルヴェの科学映画に対してイメージが現実から自律するという立場から読み直すことによって、色々考えるきっかけを作ろうという本。終わりの部分に全体の議論の要約があるからそこから読めば良かった2015/01/28

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