内容説明
末期ガンの患者たちの闘病と死に立ち合って思った。
一般の病院は、人が死んでゆくのにふさわしい場所だろうか。
医療者にまかせるのではなく、自分自身の意思と選択で
自分の死を迎えるにはどうしたらいいのか。
人間らしい、おだやかな時間と環境の中で生き、そして最期を迎えるために――
人間の魂に聴診器をあてた若き医師の厳粛な記録。
「ホスピス」の思想を広く知らしめる契機となった名著。
解説・柳田邦男
※この電子書籍は、1996年5月に刊行された文春文庫を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パフちゃん@かのん変更
46
単行本は1990年発行、もう24年も昔の話。その頃から比べれば癌の告知やホスピス、延命治療の拒否などは少しは良くなったとは思うが、痛みに苦しむ患者が鎮痛剤を欲しがるのにまだ時間が経っていないからと言って蒸留水を注射する話などは大変気の毒。でも、今だって杓子定規に患者の希望を否定することは多いと思う。患者の命なのだから本人や家族の意見をもっと重要視してもらいたい。今でも医者による脅迫はある。2014/01/19
こばまり
45
筆者の意図通り前半は辛く、後半は胸の中を爽やかな風が吹き抜けるようであった。若い医師のそれこそ足元がぐらつくような気付きが、数十年を経て今や日本の医療の常識となっている。今月末、小さな集まりで山崎先生のお話が聴けるかもしれないので満を持して手に取る。 2023/08/02
ポルトン
45
ターミナルケアやホスピスがまだ一般的では無かった時代、病院で死ぬってのはガン患者に取ってどういったものだったのだろう… 病院は病気や怪我を治すところ! 死にゆく患者には無関心!今後の研究材料!医者にとって末期ガンの患者はそんな存在だったのだろうか… 凄惨な死を迎える患者を看取り続け終末期医療を目指した1人の医師の話! 続編も読みたい。2017/10/22
金吾
25
◎昨年の自分の経験したことがどんどん頭に浮かびながら読みました。向き合わなければならない問題ですし、全ての物語の本人、家族、医師たちの葛藤が胸に迫ります。「息子へ」は父と話しているみたいで泣けてきました。2024/01/29
うさうさ
16
ホスピス医である著者が経験した10人の死の物語。発行が25年ほど前なので、ガン告知に関しては今とかなり違うかもしれないが、ものすごくよかった。10人全員が死ぬので、よかったというのもおかしいが、心が揺さぶられた死もある。きちんと告知を受けて、残された時間を大切に過ごせるかどうかで、その死は大きく変わってくるものだな、と。一般病棟における治らない患者の扱われ方は驚くほど酷いんだな。2014/07/02
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