内容説明
「聞いてくれればどんなことでも話しますよ」。
大正天皇・貞明皇后の最側近として仕えた高等女官坂東登女子の回想録。女官の過酷な仕事、恋愛、生理事情、「お茶目さん」だった大正天皇の一日やその素顔とは。
お金の使い方がわからず三越へのお使いで戸惑ったこと、
大正天皇・皇后と雪だるまを作ったこと、宮内大臣に水をかけていたずらをしたことなど。袴を蹴って歩いた日々の思い出を言語学者の山口幸洋がまとめる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
67
女官(命婦)として大正天皇に仕えた女性への聞き取りを基にした本。当時の女官の仕事や日常、大正天皇の人柄について等が、聞き取り当時も彼女に残る優雅な御所言葉で語られます。御政務よりも祭祀や年中行事に重きが置かれる当時の宮中で、その補佐が女官の重要な仕事の一つだったという天皇が執り行う御神事の様子についてや陛下は「神とご一人」という当時の天皇観が窺える話のほか、宿直時は御寝所横のお畳廊下で寝ることなど平安時代の女房文学を彷彿させるような逸話もあって、「下方」には想像もつかない宮中の生活を楽しく垣間見ました。2026/03/24
くさてる
28
大正天皇・貞明皇后の女官として仕えた女性に当時の宮中の生活や仕事、皇室の人々のことなどを聞き取って活字化した内容。著者も繰り返し述べているけれど、やっぱりもっと詳しく、細かく聞きたかった……と思うほど、その語りは面白いし、興味深い内容でした。独特の言葉遣いや、宮中の雰囲気が感じられる箇所も多く、面白かったです。2022/11/30
宇宙猫
17
★★★★★ 大正の高級女官、椿局の聞き取りによる回想録。宮城での日常や両陛下のお人柄などを楽しそうに語っており、清少納言もこんな気持ちで枕草子を書いたのかなと思いながら読んだ。大垂髪での平安絵巻のような祭事と、洋装による消防訓練などが混在する日常はとても興味深い。幼いころから厳しく躾けられ規律に縛られた生活をする人達が、物事に頓着しない下々を下に見る気持ちが少し分かった気がした。2024/06/30
アカツキ
13
父親や大伯母が宮中で働いたことから登女子も女官・椿局として働くことに。その時の思い出を語ったもの。天皇・皇后から愛された重宝された、みんなの人気者だったという自慢話にも取れる言葉が随所にこぼれているが、サービスカーやお買い物での世間知らずなお嬢様的言動(皇族方のほうが世慣れている)を思うと本当に愛される人柄だったのかも。ただ、厳しく躾けられてきたせいか下方の言葉遣いや振る舞いへの目線はやや渋い。当時の写真はたっぷり雰囲気があって素敵。2022/12/03
hitotak
10
方言学者であった山口氏が昭和49年に大正天皇に仕えた元女官・椿の局こと旧姓梨木登女子へ行った聞き取りをまとめたもの。山口氏が専門家でないためか語りの内容に不明点や間違いも多い(膝行を疾行と間違えている等)が、独特の御所ことばで語られる大正天皇や宮中の様子は興味深く面白い。下々の者の言葉使いや習慣に感じる違和感や、歴史の中枢をすぐ傍で見ていたような自慢気な物言いに、宮中で仕えた日々に誇りを持っていることも感じられた。大正天皇に殊の外気に入られ、皇后の機嫌が悪くなり困った、といった趣旨の記述もある。2023/02/12
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