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内容説明
著者は危機管理学とリスク・コミュニケーション、テロ対策の専門家。第一次安倍政権が発足した2006年から、内閣官房、総務省でテロ対策や危機管理に関する政策の検討に携わってきた。現代のテロリズムは、「政治的な影響を与える暴力的行為」すなわち社会へのインパクトを重視する。安倍晋三銃撃事件はオーディエンスに消費される劇場型犯罪であり、容疑者の家庭問題から旧統一教会、自民党との関係という政治的問題にメディア・アジェンダ(議題)を変容させながら展開した。たとえ安倍政権への政治的不満に由来しなくとも、「テロリズム的」と呼べるゆえんである。「政治と暴力」は結びついており、「日本はテロとは無縁の国」は幻想に過ぎない。蘇我入鹿や吉良上野介、井伊直弼、大久保利通、伊藤博文、犬養毅、浅沼稲次郎。いずれも日本政治史における「要人暗殺テロ」の犠牲者である。「警備の見直し」や「武器・材料の購入規制」などの対症療法を超え、最先端の危機管理学に基づく「根本療法」を考える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
時雨
3
元首相の暗殺事件から2ヶ月後の2022年9月に上梓。/物々しい書名だが、本書ではもっぱらテロリズムとその対策を論じる。古典的形態である要人暗殺から、無差別・ソフトターゲット・ホームグロウン・ローンウルフといった現代的特徴までを概観しつつ、日本が米国に倣って導入しようとしている危機管理の4機能モデルを紹介する。4機能とは①インテリジェンス(情報収集と政策立案への活用)、②セキュリティ(事前対策および事後対応)、③ロジスティクス(人員確保と予算配分)、④リスクコミュニケーション(情報の社会的共有と合意形成)。2022/11/25
澄川石狩掾
1
本書の前半で安倍晋三の功績が挙げられていたが、その中には民主主義を擁護するようなものは一切なかった。そして本書の最後では民主主義を機能させることがテロを防ぐ根本的な方法であると説いている。安倍晋三の「功績」が出て来たところで読むのを止めようかと思ったが、最後まで読んで、この本は遠回しに安倍を批判する書であったとのだと納得した。2023/04/17
Kelevra Slevin
1
安倍元首相の白昼演説中に自作銃で暗殺されるという衝撃的な事件を受けて緊急出版されたもの。暗殺事件の原因として、政治と旧統一協会とのかかわり合い、県警の警備不備などいろいろ報じられているが、それらはミクロの問題であり、今回の事件を機会にテロ対策の抜本的な見直しが必要であるというのが本書の主張である。具体的には、①インテリジェンス(情報収集)②セキュリティ(事後対応を含む防御施策)③ロジスティクス④リスクコミュニケーションの4つの機能を有機的に組み合わせること。2022/09/27
niki
1
尊敬している先生の新刊。「政治と暴力」という穏やかでない題名だが、テロに関する内容が多く、他国と比較して日本の法整備や体制がどれだけ遅れているか知ることができる。 イスラム国のメディア能力の高さは前から不思議だったのだが、世界各国のメディアのプロを集めたとのことで納得。『テロリズムの本質は、テロを実行している個人または組織が、自分たちは正義であると信じていることである』『自暴自棄犯罪を引き起こす犯人には、このように格差により社会的に孤立化した個人が多い』テロを根絶するのは非常に難しいと改めて感じた。2022/09/23
たいたいぶん
0
楽天ブックスで購入。 銃撃事件が起きてからすぐ急いで書いたからか、所々文章が変なところがあった。 内容はこれまでの日本や米国の警備システムの歴史と、問題点を指摘するといったもので、あまり安倍晋三の事件について深掘りされていなかった。 主題が安倍晋三銃撃事件なので、もう少しその事件についての知見を述べてほしかった。2023/08/24