忠臣蔵まで 「喧嘩」から見た日本人

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忠臣蔵まで 「喧嘩」から見た日本人

  • 著者名:野口武彦【著】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 特価 ¥990(本体¥900)
  • 講談社(2022/09発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062186742

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内容説明

江戸以前、武士とはどうしようもない暴力的存在(野蛮なかぶき者)だった。本書は時代をさかのぼり、戦国期の武士を貫く行動原理がどのようなものであり、太平の時代になっていかに危険なものとなったかを明らかにする。そして、じつは赤穂事件こそが復讐の論理を忠義の論理に切り替える(すり替える)という、真にアクロバティックな思想的転換であったことを示す。

 野口武彦氏にはすでに『忠臣蔵―赤穂事件・史実の肉声』(ちくま新書、現在はちくま学芸文庫)という傑作があります。そこでは事件の発端から終結まで、後世の潤色を取り去り、史料の叢から元禄の人間ドラマをよみがえらせました。
 しかし、それだけでいいのか。ここから著者の新たな追跡がはじまります。
 「後世の潤色」にはいろいろありますが、その最たるものは武士道というイデオロギーによるものです。忠義のベールに覆い隠された事件の本質はなんであり、それを取り去ったあとに残るものはなにか……。
 それは自力救済と復讐の論理であり、武士という存在のどうしようもない暴力性です。ガルシア=マルケスのひそみに倣えば、「忠臣蔵」とは「元禄の予告された殺人の記録」なのです。
 本書は時代をさかのぼり、主に戦国期の武士を貫く行動原理がどのようなものであり(野蛮であり、傾奇者であります)、太平の時代になり、権力にとっていかに危険なものとなったかを明らかにします。そして、じつに赤穂事件こそが復讐の論理を忠義の論理に切り替える(すり替える)という、じつにアクロバティックな思想的転換であったことを示します。

げに武士道とは、始末に負えぬものなり
江戸以前、武士はどうしようもなく暴力的で野蛮な存在だった。太平の世を迎え、権力は自力救済と復讐の論理を服従の美学に転換させるべくさまざまな努力を重ねる。それでも間歇的に噴出する異議申し立て。その頂点が赤穂事件だった。忠義のベールを取り去ったあとに残る「日本人の正義」の原形質を明らかにする歴史エッセイ集。

目次

元禄時代を読みなおす
意趣・鬱憤・赤面
喧嘩という習俗
喧嘩両成敗をさかのぼる
川中島合戦
甲陽軍艦と信玄家法
長篠合戦の神話
武士道の始原
葉隠とその未生以前
雑兵は語る
刈田狼藉
綱吉という男
ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yooou

3
☆☆☆☆★ 僕の興味は忠臣蔵の法的側面ではなく実際にあった赤穂事件の出来事そのものでしたが、本書はそれに答えてくれるだけではなく全く知らない数々の出来事から当時の様子を生き生きと蘇らせてくれました。2016/08/28

ムグムグ

1
大変面白かった。喧嘩両成敗って公平なんだと思ってたが、よく考えると喧嘩をふっかけられた方は、成敗されたらたまったもんじゃない。武士が刀を鞘から抜く時は死を覚悟しているんだな。2014/02/04

ホンドテン

0
図書館で。書題通り江戸中期以前の自力救済原則(喧嘩による解決)が法治主義に転換=封印されるまでの過程を描く。討ち入り賛美は長らくの自力救済心情の噴出であり、法治が所詮は脆弱な建前であることに足下がグニャリとなる気分になった。とはいえ浅野の天気性不快、宝永噴火に代表される元禄の繁栄観(大正に成立)に反した不穏さやら綱吉の性的鬱屈の異常な処置やら圧倒的な蘊蓄は読み物として楽しい。2023/11/05

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