内容説明
ある姉妹が昭和30年代に過ごした時空間を丁寧にとっておかれた手作りの人形や絵日記などからたどり、高野文子が物語に再構成する
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bura
76
大田区南久ヶ原にある「昭和のくらし博物館」こちらに寄贈された昭和30年代に少女時代を過ごした姉妹、山口いずみさんとわかばさんの日記や人形やおもちゃをマンガ家高野文子がその感性と共に編んだ本。普通は捨ててしまう紙の着せ替え人形などがきれいに残っている。カステラの箱で作った人形の家はものすごく丁寧で嬉しくなる。心の扉が開いて幼い頃の自分を連れてきてしまう一冊。2025/06/11
ムッネニーク
63
40冊目『いずみさん、とっておいてはどうですか』(高野文子/昭和のくらし博物館 著、2022年9月、平凡社) 「昭和のくらし博物館」で行われた企画展示「山口さんちの子ども部屋」の展示物や準備過程を纏めたドキュメント。 展示物は山口家という一般家庭から寄贈されたもの。ただの子どもの日記やおもちゃなのだが、それが凄まじいエモーションとなって胸に押し寄せる。 展示を担当した高野先生の柔らかな眼差しと文章が心地よい。 〈キセカエ人形はね、人に聞こえないように小声で、「さわらせてね」って言ってからつまみます〉2025/05/09
seacalf
61
子供時代に書いた絵日記や大好きだったおもちゃの数々は何度かの引越しなどでいつの間にか処分や紛失の憂き目にあう。でもいずみさんの玩具一式は綺麗に保管されていて、当時の日記と共に博物館に寄贈された。その内容が実に面白く、時代も性別も違えど自分の幼少期が蘇り、不思議と懐かしさに包まれる。お兄さんのおもちゃ類も綺麗に保管されていたらしいので、そちらも是非見てみたい。「昭和のくらし博物館」、単なるノスタルジックな気持ちに包まれるだけでなく今にも通ずる普遍的な幸せや営みの発見がありそうなので一度足を運んでみたい。2023/05/03
こばまり
48
可愛らしくてなんだか鼻の奥がつんとするのだ。決して懐古主義な方ではないが、心豊かな家族の暮らしを思って。博物館に寄贈された物たちも持ち主も、引き続き愛しまれる終の住処が見つかり幸せだ。断捨離するばかりが是ではない。2024/07/27
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
39
昭和のくらし博物館に、昭和のものを寄贈した一家にまつわる話。昭和30年代が中心なので、その頃のおもちゃなど眺めているだけでワクワクします。ここまで残せたのは、物を大事に使っていたんだな~としみじみ感じました。2022/10/24