フェミニスト・シティ

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フェミニスト・シティ

  • ISBN:9784794973290

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内容説明

なぜ、ベビーカーは交通機関に乗せづらいのか? 暗い夜道を避け、遠回りして家に帰らなければならないのはどうしてか? 女性が当たり前に感じてきたこれらの困難は、じつは男性中心の都市計画のせいかもしれません。

これからの都市は、男だけでなくあらゆるジェンダーに向けて作られなければならない。
近代都市は男性による男性のための計画によって形作られてきた。多くの公共スペースは女性のために設計されておらず、母親、労働者、介護者として生活する女性たちに不自由を強いてきた。ヨーロッパでは街を歩くだけで売春婦と思われた時代があり、現代においても危険な夜道は解決されない問題として残っている。フェミニズムを建築的に展開させた本書が、世界を作り出す新しい力(パワー)になるだろう。

目次

イントロダクション:男の街
女は厄介者
都市について書いているのは誰か?
自由と恐怖
フェミニズム地理学について

一章:母の街
フラヌーズ
パブリックなからだ
女性の場所
都市という難所
母親業のジェントリフィケーション
性差別のない街とは

二章:友達の街
友情に生きる
ガールズ・タウン
友情と自由
クィア女性の空間
死ぬまで友達

三章:ひとりの街
パーソナルスペース
おひとりさま
ひとりでいる権利
公共空間の女
尾籠な話
女が場をもつこと

四章:街で声を上げること
都市への権利
安全をDIYする
アクティヴィズムにおけるジェンダー
アクティヴィストの旅
行動が教えてくれるもの

五章:恐怖の街
恐怖心の正体
危険の地理
恐怖のコスト
押し戻す方法
女の大胆さ
交差性と暴力

あとがき:可能性の街

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たまきら

38
副題:Claiming Space in a Man-made Worldがしっくりくる。男性がデザインした世界で女性にはどのような居場所があるのか。そして、私たち女性はどのように権利を主張していくべきなのか…。カナダからの発信だが、基本日本の状況と同じだ。淡々と書かれているので、男性読者にも女性が感じている不平等や居心地の悪さを受け止めやすいのではないだろうか。私にとっても色々な気づきがあった、ありがたい一冊。まだ完全にかみくだけていないので、もう少し自分で実生活を見返しながら考えを深めたい。2022/12/08

katoyann

20
地理学者がフェミニズムの観点から女性のための公共空間を考察した一般書。女性は性暴力やハラスメントの被害に遭う恐怖を感じているため、公共空間にアクセスすることに困難を覚えているという。例えば公共交通機関は性暴力の温床にもなっているが、安心して公共交通機関を利用したり、街路を歩いたりすることができないが故にジェンダーの格差が広がっていくという。いわゆる「夜を取り戻せ」運動やオンラインフェミニズムまで、家父長制的な性暴力を告発するアクティビティを支持しつつ、女性の安全に配慮した都市計画の考察があり面白かった。2023/09/01

owlsoul

8
「強者」の論理、つまりヘテロセクシャルの男性的思考によって設計された都市は、女性をはじめとする多くの「弱者」の存在を無視している。気休め程度に「弱者を気遣った」デザインでは、多様な世界を実現したとは言えない。家父長制によって女性の行動を制限し、資本の増殖を第一の目的とした社会システム。その合理性に則って構築された都市。周縁に追いやられる育児や介護。繁華街では女性が「強者」の性的対象として商品化され、そのまなざしは一般社会にまで浸透している。いっそのこと、男性の存在を無視して設計された都市を体験してみたい。2024/01/24

kenitirokikuti

8
図書館にて。著者はカナダのトロント生まれのユダヤ人女性、1975年生まれ。専門はジェンダーと都市、ジェントリフィケーション、フェミニズム都市学など。名門大学でテニュアを得ている。北米のそういうそれだから、そういうそれだよな、という予想通りの内容。著者はアクティビティズムを良しとするタイプだが、アジってないと死ぬというタイプでもないからだろう。2023/02/18

ゆまたろ

6
こう言った視点で街を考えたことがなかったのでとっても新鮮だった。たとえば除雪についても書かれているが「どの道路やエリアが優先して除雪されるか」私の住む町はとにかく車道が優先される。そのため、雪が降ると歩道は全く歩けなくなり車椅子やベビーカー、運転しないお年寄りは外に出るのが困難になる。つまり大切にされていないということ。こういうことをあまり疑問を持たずにいたので正直目から鱗。きっと街のそこかしこに、多数者が優先されている作りがあるのだろう。ラストに筆者は「フェミニストシティの実現にはジェンダーや人種2023/01/02

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