岩波文庫<br> パロマー

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岩波文庫
パロマー

  • 著者名:カルヴィーノ/和田忠彦
  • 価格 ¥638(本体¥580)
  • 岩波書店(2022/09発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784003270943

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内容説明

中年男性,職業不詳,妻と娘1人,パリとローマにアパートを所有.それがパロマー氏だ.彼は世界にじっと目を凝らす.観察に徹しようとする彼は,しかし….視覚的・文化的・思索的経験という3種の主題領域がそれぞれ記述的・物語風・瞑想的に書きあらわされ,三層に三重に積み重なって27の短篇が響き合う,不連続な連作小説.

目次

Ⅰ パロマー氏の休暇
Ⅰ・1 浜辺のパロマー氏
Ⅰ・1・1 波のレクチュール
Ⅰ・1・2 あらわな胸
Ⅰ・1・3 太陽の剣
Ⅰ・2 庭のパロマー氏
Ⅰ・2・1 亀の恋
Ⅰ・2・2 クロウタドリの口笛
Ⅰ・2・3 はてしない草原
Ⅰ・3 パロマー氏空を見る
Ⅰ・3・1 昼下がりの月
Ⅰ・3・2 惑星と眼
Ⅰ・3・3 星たちの瞑想
Ⅱ 街のパロマー氏
Ⅱ・1 テラスのパロマー氏
Ⅱ・1・1 テラスにて
Ⅱ・1・2 ヤモリの腹
Ⅱ・1・3 ホシムクドリの襲来
Ⅱ・2 パロマー氏買物をする
Ⅱ・2・1 鵞鳥の脂肪一キロ半
Ⅱ・2・2 チーズの博物館
Ⅱ・2・3 大理石と血
Ⅱ・3 動物園のパロマー氏
Ⅱ・3・1 キリンの駆け足
Ⅱ・3・2 シラコのゴリラ
Ⅱ・3・3 鱗の秩序
Ⅲ パロマー氏の沈黙
Ⅲ・1 パロマー氏の旅
Ⅲ・1・1 砂の花壇
Ⅲ・1・2 蛇と頭蓋骨
Ⅲ・1・3 不揃いなサンダル
Ⅲ・2 パロマー氏と社会
Ⅲ・2・1 言葉をかみしめることについて
Ⅲ・2・2 若者に腹を立てることについて
Ⅲ・2・3 きわめつけのモデル
Ⅲ・3 パロマー氏の瞑想
Ⅲ・3・1 世界が世界をみつめている
Ⅲ・3・2 鏡の宇宙
Ⅲ・3・3 うまい死に方
解説

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やいっち

90
「世界を観察することに徹しようとする彼だが…」彼は観察者に徹することはできない。そもそもなにゆえ観察者たろうとするのか。それは現前するはずの現実世界をありのままに捉えたいという欲求から。これまでの自分は、観る主体と見られる客体とがどこまでも対峙するに留まっていた。対峙するどころか、波動関数の崩壊のように、一旦、客体を捉えたと思った瞬間、それは思いもよらない他人行儀な<実体>となり、ありのままの、そこにあったはずの現実とは懸け離れたものに成り果てる。2022/05/03

アナーキー靴下

79
お気に入りの方のレビューに惹かれて。パロマー氏の尽きせぬ思索で織り成された連作小説。思索は内から外へ向かいながらも、その外部は自己を映し出す鏡面のようだ。だからこそ爬虫類館に長居できないのだろう。全体的に、何とも滑稽に描かれており、私自身もこうした思考遊びが好きなのでちょっと恥ずかしくなる。ひたすらに達成不可能な思考を続けてしまうのは、本能的な好奇心に屈し続けているということだ。思考を制御できないなら、何とかして達成させるしかないのかもしれない。パロマー氏の死で、世界が鮮やかに閉じられたように。2022/05/24

KAZOO

76
この小説は実験小説のような感じですね。3部、3章、3節の27の短篇連作のようです。筆者が書いているのですが順番に読んでいってもいいけど同じ説の番号を通して読んでもいいといっています。確かに話はあまり継続性はないのですが。岩波少年文庫の主人公も出てきます。2015/07/09

えりか

54
パロマー氏は「見る」。海辺で寄せてはかえす波を、動物園でシラコゴリラを、肉屋の行列で赤い塊を、竜安寺で石庭を、テラスで星空を。ただ目に映すだけではない。その先に広がる可能性を思考し、見つめ続ける。それはいつしか彼と対象との境界を越えて、無限の果てまで、思考がふっとんでいく。最終的には宇宙規模で、亀の交尾やチーズの欠片を考える物思いの耽り方。見ることに真摯すぎる。真摯すぎるがゆえに、彼の絶望が伝わってくる。答えのないものに対して、答えを求めようと見て、思考し、絶望し、時には発見し…そしてまた見て…2016/11/07

拓也 ◆mOrYeBoQbw

29
不連続短篇。形而上学的コメディ。中年パロマ―氏の日常と日々の観察を綴った、独白を中心とした短篇集。主人公パロマ―氏は見かけた様々な物から様々な形而上学的推論を繰り返しますが、概ね何かしらの失敗に終わる愛すべき人物です。しかし流石はカルヴィーノ。章、部、節によって視覚から瞑想に至る番号を割り振ったり(私にはよくわかりませんでしたがw)、引用など極力排除し、閉じた公理系を改めて再構築しようとしたり、幻想的な事象は全く扱ってないのですが、何処か夢見心地になる作品になってて面白いですね(・ω・)ノシ2017/08/18

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