内容説明
一九一六年,大英帝国の外交官であった男に死刑が執行された.その名はロジャー・ケイスメント.植民地主義の恐怖を暴いた英雄であり,アイルランド独立運動に身を捧げた殉教者である.同性愛者ゆえに長くその名は忘れられていたが,魂の闇を含めて,事実と虚構が織りなす物語のうちによみがえった.人間の条件を問う一大叙事詩.
目次
ロジャー・ケイスメント関連地図
主要登場人物一覧
コンゴ
アマゾン
アイルランド
エピローグ
謝辞
訳者あとがき
参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
208
2年ぶりにマリオ・バルガス=リョサの新作を読みました。と言っても、2010年にノーベル文学賞を受賞した年の作品、それを今頃出版する日本の出版社の文学的意識の低さを感じます。コンゴ-アマゾン-アイルランドと世界を股にかけて活躍した実在の大英帝国の外交官の物語、読み応えがあります。 https://www.iwanami.co.jp/book/b591619.html2021/12/10
ずっきん
91
英外交官としてコンゴとアマゾンでの悪逆無道の搾取の実態を告発し、アイルランド独立運動の革命家となったロジャー・ケイスメントの一生を描く歴史小説。筆がケイスメントの内奥深くへ切り込み、史実は容赦なく無惨な爪痕を残していく。『闇の奥』やマッカーシー作品は文学であることに救いがある。そう感じるほどだ。さらに時間軸の揺らぎが絶妙の効果をもたらし、リョサが創造する彼の一生を余すことなく追体験する。ああ、素晴らしかった。人間は多面で矛盾に満ちた生き物なのだ。それを破綻なく描き、読者を騙し誘う小説のすごさよ。2022/02/18
syaori
83
「ケルト人」とはアイルランド独立を目指したイースター蜂起への武器調達の罪で投獄されたロジャー・ケイスメントのこと。先住民と資源を搾取する植民地主義と対峙した英雄、祖国独立のためには武装闘争も辞さない過激なナショナリスト、様々な顔を持つ彼の生涯を通して語られるのは、一人の人間の中には天使と悪魔が密接に絡み合っていて、その人間が作る世界も強欲による地獄・植民地だけでなく、芸術や理想など「最良のもの」も生み出してきたということ。そんな謎と矛盾に満ちた人間を描く本書は、壮大な人間賛歌の物語だったように思いました。2024/09/27
榊原 香織
73
読み応えずっしり。 20世紀初頭、たたき上げのイギリス外交官ロジャー・ケイスメント。 コンゴとペルーアマゾンの暗黒面を告発。 アイルランド独立の闘志となるが絞首刑。実に数奇な人生。 バルガス=リョサはリアリズムなんですね2024/05/25
NAO
69
20世紀初頭、コンゴとアマゾンの先住民に対する虐待、植民地主義の罪を告発したイギリスの外交官ロジャー・ケイスメントの生涯を描いた歴史小説。冒険を求めてアフリカに渡った夢見がちなロジャー・ケイスメントが見たのは、植民地政策に遅れをとったベルギーがゴムの収穫のために現地人を虐待し搾取する最悪な状況だった。コンゴ、アマゾンの現地人への虐待を調査するケイスメントは、あまりにも理想が高いドン・キホーテ的な存在だ。そして、ベルギーやアマゾンでの搾取と虐待が、かつてイギリスがアイルランドに行ってきたことだと気付く。⇒2022/03/06
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